「ルークが兄でアッシュが弟となっている以上、二人の関係が被験者とレプリカと言うような通常では有り得ない関係性と言うことはないだろう。産まれたその時から二人が一緒にいるのを見ている人間は何人もいるのだから、兄弟という血の繋がりは確かにある・・・だがその経験の割にと言うのもなんだが、ルークとアッシュの精神年齢は二人揃ってあまり年相応でないように思える」
「年相応じゃない・・・まぁ確かに前にオールドラントのルークの話に聞いたような感じだったけど、それが違和感か」
『クラトス』はルークとアッシュの二人の行動に関しての幼さが違和感と言い、『セネル』も納得する。
「それがどういった理由なのかはここに来て間もない私達の知るところではないが、それでそのままでいいのかと考えた時に思ったのだ・・・どうにかルークを成長させることが出来ないかとな」
「それが・・・経験って言った理由か？」
「あぁそうだ・・・私達は何もずっとここにいるわけではないし、いれるはずもない。私達には各々戻るべき場所がある事や、この世界で元々生きている自分達の事もある。その辺りは『ハロルド』も考えていることだろう」
「まぁね～。こっちの私は面白いって言うでしょうけど、まだまだ私は他の世界に行きたいしあんたらは私がいないと元にも戻れないっしょ」
「それはやってもらわないと困るぞマジで・・・」
『クラトス』がまた話を続け経験と出した理由に『セネル』も納得するのだが、『ハロルド』の気楽な声にまた脱力気味に声を上げる。気分次第で帰す帰さないを本当に決めかねないのが『ハロルド』な為に。
「・・・どちらにせよだ。全てが全てオールドラントと同じではないとは言え、あのルークを取り巻く環境はお世辞にもあまりいいものとは思えない。本音とその狙いがハッキリとはわからないヴァンも含めてだ」
「あぁ・・・まぁ確かにどうなのかってちょっと分かりにくいんだよな、何を思ってるのかあの姿だけじゃ・・・」
『クラトス』も少しその空気に呑まれかけていたが話をし直す中でヴァンの話題に『セネル』も神妙に頷く。



・・・ルミナシアに来てルークと共にいるヴァンの姿に始めは三人もオールドラント同様、何かを企んでいて共にいるのではと訝しんでいた。しかし共に過ごしていく内に何かを企んでいると言うよりは、何かを憂いているというような印象を抱いていた。同時にそのアンバランスさ故に何かを起こしそうな危うさも。

その上で三人はルミナシアに来て日が浅い事に加え、六神将に該当する人物の名前だとかを口にして何か妙な印象をヴァン当人だけでなく周りにも与えてしまえば余計な疑いを自分達にもだがその周りにも招きかねない・・・そう思ったが故にヴァンについては三人は何も追及せずにいたのだ。



「そのヴァンという不安要素も含めルークにはこれから幾多もの障害が待ち受けているだろう・・・だからせめて私達がこの世界を旅立つそれまでに経験を積めればと思ったのだ、それらを乗り越えられるようにな」
「成程な・・・」
そんなヴァンまでもを含めて乗り越える、そうしてほしいとの願望も含まる『クラトス』に『セネル』は神妙にコクりと頷いた。
「そういうことなら俺もやることはやらないとな・・・！」
「張り切ってるわね～、『セネル』・・・まぁ私も自分から言い出したことだし、協力はするわよ～」
そのまま拳と拳を胸の前でぶつけ気合いをみなぎらせる姿に、『ハロルド』も気楽そうに声を上げながら新たに賛同を口にする。



「ねぇ『クラトス』～、理由は分かってんだけどアッシュの方にそう言った考えがない理由って何？」
「・・・ルークに寄った我々の事をアッシュが認め受け入れるはずがない。理由は様々あるがそれでいいだろう。むしろそれ以上の理由が存在すると言うのか、ハロルド？」
「無いわね～」
・・・ちなみにこれは三人が意気揚々と話した後の『クラトス』と『ハロルド』の会話である・・・当然のように交わされた会話であるが、もう『セネル』も含めた三人の中ではルミナシアのと分かってはいてもアッシュにわざわざ自分から協力する理由などないようだ。












・・・こういったやり取りから、三人とルークの度々のクエストと訓練の日々が本格的に幕を開けたのだ。本当の意味でルークを鍛え、経験を積ませる為の日々が。

そしてそんな日々が続きルークも徐々に逞しくなっていった。それでその中で三人にルークを取り巻く環境にも変化があった・・・







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