父という立場
(・・・仕方ない、一肌脱ぐか。公爵の精神状態を安定させるのもオールドラントの為には必要だろうからな)
・・・ルークなら大丈夫とそう信じるクラトスだが、公爵の自信はそう単純に言ったところですぐには回復しそうにない。そう判断してクラトスは意を決する・・・公爵の自信はこれからに必要だから回復させるために話をしようと。
「・・・公爵、少々私の話を聞いていただけませんでしょうか?」
「・・・話?」
「はい、公爵にとって参考になるかは分かりませんが何かの参考になればと思いお話しようと思うのですが・・・いかがですか?」
「・・・いいだろう、話してくれ」
それで話をしたいと真剣に切り出すクラトスに訝しげな表情だったが、引きたくないという再度の返答に公爵も何かあると感じたのか真剣な面持ちで頷く。
「・・・私にも息子がいます。ただ今は少々遠い位置にいて会えない所にいますが、その息子は私にとってかけがえのない存在です」
「ほぅ、それは知らなかったが何故今そのようなことを・・・」
「・・・後悔していただきたくはないと思ったからです。例えそのつもりがなかったとは言え、私は息子であるロイドと生き別れる事になりまともな親子としての関係を築けませんでしたから・・・」
「なにっ・・・!?」
公爵の了承を得てクラトスは語りだす、自身とロイドのかつての関係を。だがまさかの話に公爵は始めはなんでと思っていたようだが、驚きを浮かべる。
「・・・詳しく話をすれば長くなりますので多少かいつまんで話をしますが、私が側にいない間に言葉も話せない程の幼子であったロイドと妻であったアンナは賊に襲われ行方知れずとなりました・・・その後数年経ち、とある村に立ち寄り傭兵としての契約を結んだ際に偶然私はロイドと再会しました」
「・・・それはよかった、と言いたいが・・・妻はどうなったのだ・・・?」
「・・・ロイドを見つけ育ててくれた方の話によれば、既に助かるような状態ではなくその方にロイドを託して逝ったとのことです」
「そうか・・・」
ただ話をするとは言え流石に別世界から来たことに天使化やエクスフィアを始めとした事を話せる訳はないと誤魔化しを含ませながら思い出すようにクラトスは話を進めるが、未だに心の傷として残る妻のアンナの死を目を閉じながら重く告げた事に公爵も気まずげに目を背ける。
「・・・話を続けますが、そのような偶然でロイドと再会出来たとはいっても私は自分が父親であることを明かしませんでした」
「何・・・それは何故だ?」
「・・・様々に理由はありますが、一番大きかったのは今更自分が父親であると明かしてどうなるのかという考えが浮かんだからです・・・アンナの事をアンナの墓の前でロイドから伝え聞いた私は息子であることを知りましたが、その時の私は傭兵としての役割があったことに加えて今更私が何を言うのか・・・何を言っていいのか、と思ったのです。見捨てたも同然のようなことをした私が何を、と・・・」
「・・・そう、か・・・」
公爵もクラトスの葛藤に苦しみを感じ痛ましい思いを抱いたのだろう。続いたロイドに対しての行動とその理由を聞き、ただ重く頷くしかなかった。
「・・・誤解がないように申し上げますが、その再会から私とロイドに後数人程の供と共に旅をした時に紆余曲折ございましたが私はロイドと親子であることを話しました。状況が望んだことで私の本意とは言えないことではありましたが・・・結果として私はロイドと親子という関係に戻ることは出来ました。ただどちらかと言えばあの子の性格というか、気質により受け入れられたと言う点が大きいでしょうが」
「・・・それは良かったとは思うが、何故今その話を私にするのだ?」
「公爵にお勧めするためです。ルーク様との対話を」
クラトスはその姿にロイドと縁を取り戻したことを誤解のないようにと告げると公爵はいいことと言う傍ら、何故と返した事に本題に入るためと返す。ルークと話すようにと。
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・・・ルークなら大丈夫とそう信じるクラトスだが、公爵の自信はそう単純に言ったところですぐには回復しそうにない。そう判断してクラトスは意を決する・・・公爵の自信はこれからに必要だから回復させるために話をしようと。
「・・・公爵、少々私の話を聞いていただけませんでしょうか?」
「・・・話?」
「はい、公爵にとって参考になるかは分かりませんが何かの参考になればと思いお話しようと思うのですが・・・いかがですか?」
「・・・いいだろう、話してくれ」
それで話をしたいと真剣に切り出すクラトスに訝しげな表情だったが、引きたくないという再度の返答に公爵も何かあると感じたのか真剣な面持ちで頷く。
「・・・私にも息子がいます。ただ今は少々遠い位置にいて会えない所にいますが、その息子は私にとってかけがえのない存在です」
「ほぅ、それは知らなかったが何故今そのようなことを・・・」
「・・・後悔していただきたくはないと思ったからです。例えそのつもりがなかったとは言え、私は息子であるロイドと生き別れる事になりまともな親子としての関係を築けませんでしたから・・・」
「なにっ・・・!?」
公爵の了承を得てクラトスは語りだす、自身とロイドのかつての関係を。だがまさかの話に公爵は始めはなんでと思っていたようだが、驚きを浮かべる。
「・・・詳しく話をすれば長くなりますので多少かいつまんで話をしますが、私が側にいない間に言葉も話せない程の幼子であったロイドと妻であったアンナは賊に襲われ行方知れずとなりました・・・その後数年経ち、とある村に立ち寄り傭兵としての契約を結んだ際に偶然私はロイドと再会しました」
「・・・それはよかった、と言いたいが・・・妻はどうなったのだ・・・?」
「・・・ロイドを見つけ育ててくれた方の話によれば、既に助かるような状態ではなくその方にロイドを託して逝ったとのことです」
「そうか・・・」
ただ話をするとは言え流石に別世界から来たことに天使化やエクスフィアを始めとした事を話せる訳はないと誤魔化しを含ませながら思い出すようにクラトスは話を進めるが、未だに心の傷として残る妻のアンナの死を目を閉じながら重く告げた事に公爵も気まずげに目を背ける。
「・・・話を続けますが、そのような偶然でロイドと再会出来たとはいっても私は自分が父親であることを明かしませんでした」
「何・・・それは何故だ?」
「・・・様々に理由はありますが、一番大きかったのは今更自分が父親であると明かしてどうなるのかという考えが浮かんだからです・・・アンナの事をアンナの墓の前でロイドから伝え聞いた私は息子であることを知りましたが、その時の私は傭兵としての役割があったことに加えて今更私が何を言うのか・・・何を言っていいのか、と思ったのです。見捨てたも同然のようなことをした私が何を、と・・・」
「・・・そう、か・・・」
公爵もクラトスの葛藤に苦しみを感じ痛ましい思いを抱いたのだろう。続いたロイドに対しての行動とその理由を聞き、ただ重く頷くしかなかった。
「・・・誤解がないように申し上げますが、その再会から私とロイドに後数人程の供と共に旅をした時に紆余曲折ございましたが私はロイドと親子であることを話しました。状況が望んだことで私の本意とは言えないことではありましたが・・・結果として私はロイドと親子という関係に戻ることは出来ました。ただどちらかと言えばあの子の性格というか、気質により受け入れられたと言う点が大きいでしょうが」
「・・・それは良かったとは思うが、何故今その話を私にするのだ?」
「公爵にお勧めするためです。ルーク様との対話を」
クラトスはその姿にロイドと縁を取り戻したことを誤解のないようにと告げると公爵はいいことと言う傍ら、何故と返した事に本題に入るためと返す。ルークと話すようにと。
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