必然は偶然、偶然は必然 第四話

‘ドオォォーン!’
「っ・・・来たっ・・・!」
すると突然タルタロス全体が大きな音を立てて振動し、ルークは照れた表情から緊迫した表情で神託の盾が来たのだと確信する。
「では我々も動こうか、イオン君達ももう動いている事だろう」
「ああ」
ウッドロウもその事から行動開始を促し、ルークは頷く。









・・・そして一方、イオン達3人はタルタロスの機関室に繋がる道の途中にいた。
「始まりましたか・・・出来る限りは足手まといにならないようやりますので、よろしくお願いします」
「あぁ・・・だがいいのか?相手は同じダアトに所属する神託の盾、そいつらを相手にするなどと」
「気にしないでください、彼らが真の意味で忠誠を誓っているのは僕やモースにましてやローレライ教団になどではありません。預言のない世界を作るために今の外殻大地を全て魔界に落とそうとするヴァンにです。僕の説得に耳を貸すような人なら初めからヴァンについてなどいないでしょう・・・だから、いいんです」
「・・・そうか」
始まった、そう確信するイオンは丁寧に戦いの手解きを二人に願う。クラトスはそんなイオンに迷いはないのかと聞くが、以前の経験から説得に興じても無駄だと最後は笑みを浮かべながら首を振りクラトスにそれ以上の追求を避けさせた・・・その諦めたような笑みに、もう神託の盾を殺すことにためらいはないと言う気持ちが見えたために。
「・・・あれは、神託の盾か!イオン君、無理はするな!まずは私が先陣を切る、少しずつ君は戦闘に慣れていってくれ!」
「はい!」
そんな二人が会話を終えると間を空けずディムロスが敵を発見し、自身の分身でもあるソーディアンを抜き放ち突撃兵の異名さながらイオンに無理はするなと告げつつ敵に突っ込んでいく。









‘ドオォォーン!’
「なんだ、また神託の盾か!?」
「あー、違う違う。あの音は多分ディムロスがエクスプロードでも使ったんだわ、アイツの晶術基本的に派手だし」
そしてセネルとハロルドの二人は神託の盾と戦いつつも、遠くから聞こえてきた爆音の理由を戦いながら話し合っていた。
「でもまぁ随分と共通点が多いわよね、この世界」
「この世界と、お前の世界か?」
「違うわよ。この世界とあたしの世界もだけど、アンタやクラトスのいた世界もよ。まぁアンタにもわかりやすく言うと、ガルドっていう通貨の単位が代表的な共通点よ。デザインは違っても共通してあたし達が使っていたのは同じガルドって単位よね・・・シャドウエッジ!」
「あぁ、そう言えば・・・魔神拳!」
どんどんと迫り来る神託の盾を息を切らさず戦う二人の会話、そこには深い雑談を交わせるだけの余裕がある・・・それほどに二人と神託の盾の間には、実力に深い隔たりがあった。
「それに譜術に晶術に魔術に爪術・・・色々名前は違うけど話を聞くと共通して名前を聞く術なんかもあったし、今こうやって言葉が通じている事なんかも言ってみれば共通点なのよ。国が違ったらその国独特の言語を話す所もあるのに、いくつもの世界を越えて集まったあたし達が何の苦労もなく会話を交わせた。これはあたし達の世界はパラレルワールドで繋がってるって可能性があるわね・・・」
「パ、パラレルワールド?おい、ハロルド。何言って・・・」
「・・・あー、燃えてきたわ!こんな解きがいのある問題、そうそうあるもんじゃないわ!・・・邪魔よあんたら!・・・ネガティブゲイト!」
「・・・ほっといて戦っとくか」
だが二人の会話は続かない。ハロルドが自分の言葉に自問自答をしていく様子にセネルはもっと詳しく話を聞こうとしたが、考えを邪魔して襲い掛かってきた神託の盾を杖で殴り飛ばし追撃にネガティブゲイトを放った姿を見て会話を諦め神託の盾と向き合う。











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