交差する世界への考察と挑戦

・・・それでリグレットの提案の元に、手続きを済ませ導師の部屋に食事を用意した一同。



「あら、随分と豪華ね~この食事♪」
「えぇ、貴殿方はルークの元に行ったら次の世界に行く事になるでしょうからせめて奮発しようと用意をしました。それに異世界に行ってそこが食事を存分に取れる環境と決まったわけではありませんからね・・・せめてここではお腹いっぱい召し上がって下さい。なんでしたら持っていけるだけの食料も用意をしますから」
「あぁ確か今ダアトは貿易関係で第二のケセドニアになれるように動いてるって言ってたわね。イメージの定着はまだだけど、今食料があるのはその政策のおかげってこと?」
「始まってあまり間も経っていませんからまだ試行錯誤の段階ですけど、少しずつ形にはさせていってますよ」
「ふ~ん、良かったじゃない」
それで目に見えて豪華な食事がテーブルにズラッと並べられハロルドは上機嫌になるわけだが、現在のダアトの状況を笑顔のイオンから聞き一先ずの賛美の言葉を送るが目の前の料理に完全に釘付けになってしまっている。
「・・・話は後にして食べないか?これ以上話をしたってあんまりハロルドまともに取り合うとは思えないぞ」
「・・・そうですね。では皆さん席に着きましょうか」
セネルがそんな姿に仕方なしに食事の開始を促し、イオンも苦笑気味に周りを見渡し席を勧める。












・・・それからしばらくの間とりとめのない会話を交わしつつ食事を楽しんだ一行。多少多いのではと思われる量であったそれらだが、ハロルド達三人(特にハロルド)が遠慮することなく量を平らげていったために食べ物が残る事はなく時間は過ぎた。



「・・・馳走になった」
「食べましたね・・・前の世界ではそんなに食べられなかったんですか?」
「いや、残すのも勿体無いしな・・・まぁ食べられる物がない世界ってそんなになかったし、予備の食料はちゃんと持っていたから腹が減る事はなかったんだけどな」
『そうなのか?』
・・・食事も終わり人心地ついたクラトスが声を上げた所でイオンがその食べっぷりに首を傾げるが、セネルからの返答にイクティノスが興味を持ったように声を上げる。
「ま、それは人だったり人に近い存在がいる世界ばっかりだったのが理由よ。体の造りだったり免疫力が似てる事もあったりして食べれる物って言うのが似通う物なのよ、作る作物だったり取れる作物がね。ただこの世界のブウサギみたいにその世界特有の産物があったりするから、そこは世界の差があったり独特の風味があったりして面白かったわ~」
「・・・面白いって、そんな食べ物でよく冒険出来ましたね」
「意外と食べ物ってその世界の文化とかよく見えるもんよ?それに癖はあったけど、結構美味しい物ばかりだったから食べてよかったって思ったわ。ただ二人は時々躊躇してたけど変に食べず嫌いしてたら何も食べられなかったかもしれないから、そこは割り切って食べるような表情を見せてたわね」
「・・・そこは味覚に免疫力が似通った人がいる世界だったことが幸いだったと言えるな。ただ時々食べるのを躊躇うような物もあったがな・・・」
「・・・あぁ、その点で言うなら俺はザラメライスだな。正直嘘だろって思ったぞ、あれ見た時・・・」
「鍋パンなんて訳のわからないパン作れるあんたが言えることかしら?流石に私もあんたの世界であの鍋だかパンだか分からないものあんたが作ってるの見た時、なんでって正直思ったもの」
「・・・色々あるんですね・・・」
そんな声にハロルドがその理由について答えるわけだがクラトスにセネルも自身らが思っていた事を口にし出したことに、イオンはしみじみと言葉を漏らした。







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