必然は偶然、偶然は必然 第四話

・・・イオンは自分も戦いたかったとは言え、体にティア達がそれを許してはくれなかった。

体は百歩譲ってすぐにバテるからどうしようもなかったにしても、ティア達がルークを当然のように戦闘に駆り出す事はイオンは歯痒い想いをしていた。自分も手助け出来るなら手助けしたい、ルークの負担を軽減させたい。

その上今はティア達と違い真摯に協力してくれるウッドロウ達に対してはその気持ちに甘えたくはなかった。だからこそ自分も戦える機会を逃したくはない、そんな想いのこもったイオンの言葉をクラトスは察した。









「・・・じゃあそろそろ手分けして動かない?襲撃の時間も近いんじゃないの?」
「ああそうだな、そうするか・・・じゃあ俺達はブリッジ近くに行こうぜ」
「そうだね、探す場所も出来る限り変えた方がいいだろう・・・では私達はそちらに行こう」
「では我らも手分けして探すぞ、導師」
「えぇ」
そんなイオンの言葉からハロルドが時間はそろそろじゃないのかと言い出し、一同はその声にぞろぞろと部屋を退出していく・・・









・・・そして部屋を出て、3組に別れたルーク達。その中でルークとウッドロウはルークの言葉通りブリッジへと向かっていた。
「・・・ブリッジに行くと判断したのは彼と相対するためかな?」
「ん?あぁ、まぁそうだけど・・・まずかった?」
そんな中でウッドロウから話をルークに切り出す・・・言葉にせずともアッシュのことで。
「いや、マズイとは言わないよ・・・やはり彼に対して想う所があってのことかと思ってね」
「んー、まぁな。つーか逆にアイツの方が俺にこだわってるから、俺の方から行こうって思ったんだよ。しがらみを断ち切るには早い方がいいかなってな」
『だから自分からアッシュを仕留めようとしているのだな』
「うんまぁ。絶対俺の言うことをアイツが素直に受け止める訳がないし、アイツとしても俺を殺さないと何をするにしても始まらないとか思ってるだろうからさ。だったら望み通り決着つけてやろうってな」
「そうか、ならいいよ」
その話の方向はアッシュを仕留める事、そんな話をルークは少し嬉々とした様子をしながらしているのにウッドロウはかつての仲間達と旅をしていた時とは違う物騒な響きを容認した声をルークに向ける。



・・・ウッドロウとて長年王として活動するに辺り、感情論だけではどうしようもない案件に差し掛かった事もある。前にかつての仲間の息子であるカイルが自身を訪ねてきた時どうしようもない難しい案件の解決法を考え抜いて考え抜いて考え抜いてそして結論を出すと言ったことがあるが、考え抜いて出した結論が少なからず何かが犠牲になる事もあった。だがそんな結論を出したとしても、吐き出した言葉は飲み込めないし後悔した表情でその言葉は王として出してはいけない。故にウッドロウはもうルークとアッシュの共存が不可能と断じた上で、ルークの発言を容認した。



「ただ、彼の近くに誰か一人くらいは六神将がいてもおかしくはない。その時はアリエッタなら私が説得し、他の六神将なら足止めしよう」
「あ・・・うん・・・ありがとな」
そしてそんなウッドロウだからこそ、可能な事には力を尽くすことを忘れない。誠意ある申し出に、ルークはウッドロウの方を向き恥ずかしげにしながらも礼を言う。











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