交差する世界への考察と挑戦

‘パアァァァッ’
「・・・ん、ここは・・・私の部屋ね」
・・・それで所変わりハロルドは光と共に現れた訳だが、そこはハロルドの部屋の中であった。その周りの光景を確認した所で、ハロルドはニンマリと笑みを浮かべる。
「成功よ~!これでまた時間をかければ私の理論上、セネルやクラトスの世界にも行けるようになるわ~♪」
そして喜色を盛大に浮かべた声を上げ、ハロルドは跳び跳ねるよう小躍りを始めた・・・事実ハロルドにとって今の状態は楽しみ以外の何物でしかないのだ。自分の見識を更に広めることが出来る機会・・・それをオールドラントに行ってから得られたと同時にそれらを越える為の機会を得られたことを。そして今オールドラントから戻ってこれた事はハロルドにとっては始まりを示していた、更なる挑戦の機会を得られた始まりを。
‘ガチャ’
「っ・・・ハロルド、帰ってきたのか・・・」
「あら、ディムロス。久しぶり~」
「久しぶりではないだろう、久しぶりでは・・・まぁとりあえずは無事でよかった。お前が私と帰ってこない事をアトワイト達からかなり詰問されたがな」
「まぁいいじゃない、帰ってきたんだし」
「・・・全く、お前という奴は・・・」
そこに部屋に入ってきたディムロスが声をかけ少し恨みがましげな言葉を向けるが、全く意に介した様子を見せないハロルドに頭を抱える。
「・・・まぁいい、とりあえず皆の所に行くぞ。私から事情は説明してあるが、お前が帰ってきたのなら皆を安心はさせるべきだ」
「あら?堅物のあんたが上手く説明出来たの、オールドラントでの事??」
「・・・まぁ難しくはあったが一応は説明は済ませておいた。納得には多少時間がかかったが、そんなことはどうでもいい。行くぞ、ハロルド」
「はいはい」
しかし顔を再び上げ顔を見せるべきと言うディムロスにハロルドは軽口を叩くが、渋い顔をしつつ再度顔を出すべきと言われた事にそれ以上は反論せずその後を付いていった・・・












・・・それからディムロスに連れられてアトワイト達に会ったハロルドは様々な質問攻めに合いつつも、無事に元に戻れたことを歓迎された。そしてハロルドが戻ってきた事に関しての宴会が細やかながら開催された・・・



「・・・全く、騒ぎすぎよあんたら」
「普通異世界に行ったなどと分かればその身の心配くらいはするだろう」
・・・それでその宴会も終わってハロルドの部屋の前で、ディムロスとハロルドは会話を交わす。
「・・・しかし本気か?宴会の中で言っていたが、また別の世界に行くなど・・・」
「本気も本気よ。折角こんな面白そうな事に触れれる機会に巡り会えたんだもの、それを逃す気は私にはないわ。それにもう一度ルーク達やセネル達にも会いたいしね~」
「・・・撤回する気はなさそうだな、どうやら」
そこでディムロスは再確認をするよう先程の宴会での発言に言及するが、引く気はないとノリノリで言うそのハロルドの顔を見て首を横に振る。
「どう?あんたも一緒に行くディムロス?あんたもまたクラトス達に会いたいでしょ?」
「・・・正直な所で言えば興味はある。しかしお前の実験に付き合いたくないというのも本音ではあるが、それ以上に私がまたここを空ける訳にはいかん。ただでさえ大分姿を消していたのだ。迷惑をかけた分も含めてこれよりは地上の復興に尽力をしたい」
「やっぱ堅物ね~、あんた。でもあんたらしいわ、その方が」
それでハロルドは一緒に着いていくかと言うが、ディムロスが責任感を感じてるから無理だと返したことに微笑を浮かべる。
「代わりと言ってはなんだが、私達はお前の居場所を残しておく。だから帰りたくなったらいつでも帰ってこい」
「・・・ま、そこまで言うならいつかは帰ってくるわ」
しかし続いたディムロスの真剣でいて見守るような優しい笑顔にハロルドも皮肉気ながらも、確かな笑みを浮かべて了承を返した。この世界に帰ると、確かな意志を示し・・・









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