必然は偶然、偶然は必然 第四話

・・・そしてイオンからの言葉に傷心したままのティアは兵士に引き連れられ、その部屋から退出させられていった。

その後和平についての協力に対しての話は案外すんなりとジェイドが表面上は丁重にお連れしますから是非お願いします、と言った所でルークはまぁバチカルに連れていくなら別に拒否する理由もないからと言う事であっさりと了承した。

・・・ここでジェイドにおもいっきり糾弾の言葉をぶつけることも出来ない訳ではなかった二人だが、この後に起きる惨事に備える為にあえてそれ以上は何も追及することなく終わらせた。



「ふぅ・・・」
「おや、お帰り」
話し合いも終わった事でウッドロウ達の部屋に来た二人。ウッドロウが入室してきた二人を出迎える。尚、アニスはルーク達と一緒にいるからとイオンが言うとあっさりその部屋で休憩しておくと、護衛失格極まりない事を言って留まっていた。
「ちょっと二人が戻ってくる前に話し合ったんだが、全員で固まりながら行動していてもアリエッタと遭遇出来るかどうか微妙じゃないかって話をしただろ?それで何人かのグループを作って手分けすることにしたんだが・・・」
「そのあたし達が考えた組分けを発表するわよ~。まずはルークとウッドロウ、続いてイオンはディムロスとクラトス、それであたしとセネルで行動するって事になったわ」
「どうしてその組分けなんだ?」
そんなアニスの事はさておきセネルが話を切り出し、ハロルドがアリエッタ発見の為の組分けを発表するがルークはどう言った理由の分け方なのかを聞く。
『この場にいる全員腕利きだとお前も分かっているだろう、ルーク。ただイオンに関しては戦闘経験はそこまではないだろう』
「ええまぁ、僕は基本はダアト式譜術くらいしか使えませんので・・・」
『それでイオンに関しては護衛がてら戦闘に関しての教授をしてもらおうと、ディムロスとクラトスの二人をつけようと言う話になった訳だ』
「え、戦闘?イオンは戦えないんじゃないのか?」
その組分けの理由をイクティノスが説明していきイオンは戦闘が出来ない事を言われ気まずそうに俯くが、戦闘を教えると言われルークの疑問の言葉にイオンもどう言うことかと顔を上げる。
『これは俺がローレライから聞いたのだが、イオンの体はダアト式譜術を連発でもしない限りは大丈夫な程度には自身の音素を吹き込んだと言っていたぞ。だからシンクに勝つとまで言わずともある程度はイオンも動けるようにはなっているらしいが』
「え、そうなのか?」
「初耳です・・・」
『まぁ特に戦闘する必要もなくダアト式譜術を使う事もなかったから、それも当然だろう』
「あぁ、それがローレライの言っていた処置ってやつか・・・」
そこでイクティノスはローレライの処置の事を言い出し、二人の目を丸くさせる。そして続いたイクティノスの言葉にルークがローレライの処置の事を思い出す。
「とは言え戦闘するかどうかを選ぶのはイオン自身の判断だ。いくら動けるようになったとは言え、まともな戦闘経験がないのは事実だからな」
「だから君が戦うかどうかはアリエッタを探す時に決めればいい、出来る限りは私達二人が君をサポートしながら君を守ろう」
「・・・いえ、僕も戦わせていただきます」
だがそんなイオンでも戦闘経験がないと言うことがネックだからと戦闘を強制しないクラトスとディムロスの気遣いに、イオンはゆっくりと首を横に振る。
「いいのか?」
「そのような事を聞いては黙っていられません。ティア達の前では都合上僕は戦えませんが、貴方方に負担ばかりをかける訳にはいきません。それにルークだけにいつも戦ってもらっていたという負い目が僕にはあります・・・だから、僕も戦います」
「・・・そうか」
即答に近い返答にクラトスが再度確認を取るが、迷いない視線で返されクラトスはそれ以上は何も言わず下がって終わる。








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