必然は偶然、偶然は必然 epilogue

「久しぶりだな、こうやって集まるのも」
「えぇ、そうですね」
・・・ユリアシティの会議場。そこを借りきって集まったルークとイオンとアリエッタ。そこで顔を合わせたルーク達は穏やかに会話を交わしていたが、数年の年月が経っていることもありその姿は青年として遜色がない物へと変わっていた。
「どうですか、イオン様?ダアトの様子は?」
「順調ですよ。ケセドニアとの関税の差もあまりありませんし、神託の盾を再編して結成した自警団も規律を持って動いてもらっていますからね。シンクにはその代表を勤めてもらっていますが、犯罪は厳しく取り締まってますがそれ以外は人が自由に動けるように配慮していますから人々の評判も概ね好評ですよ」
「シンクが、ねぇ・・・よく代表なんてやるって受けたな、あいつ」
「どうせやることもないしって言って面倒くさそうにしながらも受けましたよ。以前の彼なら嫌だと拒否を示し最悪戦いも辞さないと言ってたでしょうが、フローリアン様々ですね。彼がシンクの役に立ちたいと成長して言ってくれたからすんなりでしたよ」
「・・・フローリアンに対してツンデレ丸出しだな、シンク」
「そう言ったらそれこそ拳の一つくらい飛んでくるから本人の前では言えないんですけどね・・・ただフローリアンが場にいたらわなわなと拳を握る感じで終わるんですけど」
「マジか?本気でフローリアンに激甘じゃん、シンク」
「端から見ていて面白いんですよね、それがまた」
そんな場で言葉もすんなりと話せるようになって大人の落ち着きを身に付けたアリエッタがダアトについて話題を振れば、イオンが順調と言いつつも次第にシンクのツンデレ度合いについて話題が移っていき、ルークもその話にニヤニヤと笑みを浮かべる。
「そういうそちらはどうなんですか、ルーク?今のキムラスカの様子は」
「ん?まぁ順調っちゃ順調だな。民主化に関しちゃ足場は固まって来てるし、貴族や民の納得も獲得出来てる。現にこうやって俺もここに来られたんだしな。その時の発表も近いことを知らせるためと足並みを揃えるように調整しろって叔父上達に言われてな。ただ流石にお前ら程順調って言えないのは正直な所なんだけどな、これは」
「それはどうしようもないですよ。国としてではなく教団の中心地としてだったダアトと違い、キムラスカは国家としての形がありますからね・・・そんなにポンポンと形を変えられるとは僕も思ってはいません」
和やかな空気、それが辺りに満ちる中でイオンから出されたキムラスカに対する質問にルークは順調と言うがまだまだとおどけたように肩をすくめて語り、それは当然とイオンも笑顔で返す。
「それはそうと・・・そろそろ来るか、ウッドロウ達は?」
「だと思いますが、まだ子供を持ったことのない僕らには彼らの気持ちがどれくらいで落ち着くかなんて分かりませんからね。気長に待ちましょう」
‘ガチャッ’
「・・・すまないね、遅くなった」
「いいえ、大丈夫ですよ。ちょうど話も落ち着いた所ですしね」
キムラスカの現状も伝えた所でルークがウッドロウの事について話題を切り出すと、イオンがフォローを入れている最中にその当人が会議場に謝りつつも笑顔を浮かべながら入ってきた。イオンは大丈夫と首を振るが、その後ろにいた軍服ではなく黒を基調にした礼服をジゼルがルークの方を見てそっと会釈をする。
「・・・お久しぶり、です」
「固くなんなよ、ジゼル。少なくとも今この場じゃそんな身分は気にしねぇからさ、俺は」
「・・・しかし今更だが今の貴方の身分はキムラスカの王、それを呼び捨てになど・・・」
「気を遣ってくれるのはいいけどそれこそ今更だ。別に気にしねぇよ。ま、誰か来たら使い分けてくれればそれで構わないから昔のように話してくれよ」
「・・・ではそうさせていただこう」
ジゼルは固く挨拶をするが、すぐにその態度を軟化するようルークは言う。だがどうかとと拒否を返そうとするが、ルークも固辞する気はないと気楽に言えばジゼルも勘弁して口調を崩し頷いた。







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