必然は偶然、偶然は必然 epilogue

「なんだかんだ言いはしたけどさ、民主政治になっても俺はしばらく政権を手放すつもりはないって言うか手放せないんだよ。いきなりんなことにして変な奴が国をまとめる大統領、って言えばいいのか?そんな存在になって人々を混乱させるような事態になったら元も子もないしな。だから民主政治に移行する流れで俺がそのまましばらくの間は大統領を勤める事にするけど、そんな時に下手な女と引っ付かれても父上達からすればまずいって訳だ」
「成程・・・公爵達からすればアリエッタはそう言った厄介事とは縁遠い存在と言えますね。それにアリエッタが相手となればダアトとの繋がりも出来ますからね、外交的に見ても」
「ま、父上に叔父上の立場からすりゃそう言った見方になる・・・けど俺はそんな打算的な気持ちではアリエッタと付き合ってないし、母上は俺達の事を色んな事情を差し引いて個人として応援してくれてるんだよ」
「夫人が、ですか?」
「母上はアリエッタの事を気にかけてくれてたからな、バチカルに来てから。それでその、時が経ってさっきのこと言ったら一番喜んでくれたのは母上なんだよ・・・まるで我が事のようにな」
「夫人・・・アリエッタに優しくしてくれました。そうなる前もそうなってからも・・・」
「成程・・・想いの差はあれ、反対するものはいないと言うことですか」
そのままにいかに両親にインゴベルト、特に夫人の賛同があったか。それらを途中で恥ずかしげに口を挟んできたアリエッタもいたが語ったルークに、サフィールも納得するがアリエッタに視線を向ける。
「アリエッタ、いいんですか?今はどうか知りませんが、そうなるからにはいずれ貴女の友達である魔物と交流する時間が取れなくなりますよ。それに元々クイーンのいる場所もマルクトの奥深くとのことではないですか」
「それは・・・もう、いいんです」
「いい、とは?」
「アリエッタはバチカルに来てから時々ママの所に帰ったり友達の所に行ってました。ですがその生活を続ける内にママに言われたんです、『もう我々と共に暮らし交流する時間は終わりなのではないか、人の中に帰る時ではないのか』と・・・そう言われた時アリエッタは寂しかったです。ですけどそうするのがいいんだって思ったんです。もう選ばなきゃいけない時が来たんだって」
「だから・・・クイーンに魔物達とはもう会わないようにすると?」
「絶対に会わないって訳じゃないです・・・けどもうママや皆と一緒にいないといけない時は終わりにしようって決めたんです、アリエッタは・・・!」
「・・・そうですか・・・」
バチカルに住むこと、それはすなわち土地の条件を考えれば魔物と共に暮らすことはまずかなわない。そう考えたが故のサフィールからの本当にいいのかとの確認の質問に、アリエッタはクイーン達と向き合ったからこそ後悔はないと微笑を浮かべて返し同じように微笑を浮かべる。その姿を好ましい物と思えたから。
「貴方は今日久しぶりに会ったからいい方ですよ。クイーン達の事に関して悩んでいた時のアリエッタは手紙にしても実際に会ってみるにしても沈んでいましたからね」
「あぁ・・・やはりそうでしたか」
「イオン様・・・それは言わないでください・・・!」
だが続いたイオンからの苦笑気味に報告にサフィールも納得するが、アリエッタは頬を赤くして抗議をする。



・・・これも三年前だったら有り得ない行動だろう、アリエッタがイオンに恥ずかしさがあるとは言えそんなことを言うなど。だがこれこそがルーク達が過去に戻ってきたからこそ生まれた物であるのだ。








43/50ページ
スキ