必然は偶然、偶然は必然 epilogue

「いや、簡単みたいに思ってるけどそう単純なもんじゃねぇぞ?まず第一にピオニー陛下結婚に関しては目を向けようとしてないじゃん。あの人にその事を了承させることって結構面倒いと思うけど」
「あぁ、そう言えば確かにそうですね・・・陛下は結婚するのを避けたいと思っているようですが、第一にと言うことはまだ何かあるんですか?」
「まぁそうだけどこれからが本題って言ってもいいな」
「本題?」
そんな姿に簡単ではないと言いつつ本題だと切り出すルークに、サフィールは首を傾げる。
「第二に言うなら実はマルクトもキムラスカにダアトと同じように後継者がいないってことだ」
「それは・・・確かにそうですね。マルクトについては触れていなかったので考えていませんでしたが・・・」
「そう。で、前の事を言うとピオニー陛下は結局結婚する事も子供を作ることもないまま時を過ごしてた。結果マルクトは皇帝を代替えする事も後継者を作ることも出来ず、結果としてジェイドとガイを打ち立てるくらいしか人心を繋ぐ為の手段を立てるしか出来なかった・・・今回はマルクト含めて世界が混乱しないように俺らも努力するつもりじゃいるけど、このまま停滞してたらピオニー陛下が歳を取って引退をしないといけなくなった時・・・それがマルクトを最大の混乱に陥れる時になる」
「っ・・・嫌な想像、と言いたいところですがかなり現実的な見方ですね・・・今のマルクトは陛下の指導で成り立っていますが、陛下がいなくなれば先導する者がいなくなる事になりますから是非とも結婚して子供を作らねば色々と手遅れになりかねませんね・・・」
ルークはそのまま第二の理由を皇帝の跡取りが必要だと滔々と語り、サフィールもその理由が現実味を帯びすぎている為に冷や汗混じりに納得する。
「そして次が・・・第三の理由だが、これが決定的な理由になる。それは俺らの起こす変化に対して、俺らからしてのベターな選択だからだ」
「・・・ベターな、選択?」
だが続いたルークの第三の理由の意味深な言葉にサフィールは訳が分からないと眉をひそめる。
「さっき言った俺らの変革に関して、サフィールはマルクトが取るべき対応はなんだと思う?」
「え?・・・先程聞いた所の流れを考えると、マルクトは多少混乱するでしょうが下手にその流れに首を突っ込むべきではないと私は考えます。マルクトまでもがその流れに入ってしまえばどうなるか分かりませんから・・・ってまさか、貴方はマルクトが変化をしないなら陛下が結婚をする必要があるとおっしゃっているのですか?その体制を維持する為に・・・」
「そういうこと」
そこで考えるようにと質問を投げ掛けられサフィールは考え込むようにしつつ答えていくが、途端にその意図をハッと理解してルークを見ると笑みを浮かべていたがその笑みは深い余裕に満ちていた。
「マルクトは俺らの改革に付き合う必要はない。いや、付き合うつもりがあるならそれ相応の準備が必要になる。そして俺らはマルクトにそうまでして欲しいとは思わない・・・無理に付き合われても何の準備も出来てないならそれこそ最悪な状態になりかねないからな」
「ですがそうするなら結婚して子供を作ることは必須になる、という訳ですか。体制を維持する為に・・・」
「だからベターなって言ったんだよ。何も考えなしに同調されるよりはって意味でな。ただこれに関しては陛下に強く念を押してくれよ、サフィール?陛下の歳を考えるといい加減結婚して後継者を作ってもらわないと、マルクトが危なくなりかねないからな」
「・・・わかりました。この件に関しては私から念を押させていただきます・・・もういい加減、ネフリーに対する想いを改めていただかねばなりませんね。あの方には・・・」
ルークはそのままいかに体制の維持がベターなのかを語った上でピオニーへの結婚を勧めると、サフィールも重々しく頷きブツブツと呟く。真剣にピオニーに結婚に前向きになってもらうために。






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