必然は偶然、偶然は必然 第四話

「え・・・っ!?」
「は・・・?・・・イオン様、それはどのような意味で言っておられるのですか・・・?」
「言葉通りです」
イオンのまさかの宣告にティアは身を震わせジェイドが心底訳が分からないとその意味を問うが、イオンは冷静な口調で返す。
「ルークを誘拐、いえティアの言葉からすれば巻き込んでしまっただけでしょうがどちらにしてもファブレ公爵邸に侵入してヴァンを襲った事実に変わりはありません。そもそもの話ですが人の住宅に許可なく不法侵入という事がそれ事態、法律に違反していることは理解していますか二人共?わからない訳ありませんよね、貴方方は軍人なのですから」
「「・・・っ!」」
そして終わりに近づくにつれ大分二人を馬鹿にした内容でイオンは問うが、内容が分かりやすくなっているために二人はそんなことにも気付けず指摘されたことに気付く。



・・・ヴァンを襲った事で押し問答をしてものれんに腕押しというのは理解している、だからまずは常識を突いてから段階を上げて行く。イオンのそんな考えは成功した。



「それでわかりますね?ティアはファブレ公爵邸でそのような事を起こした。それがダアトで起こした事なら身内の起こした事だと自分達で処理が出来るのですが、貴女はキムラスカで事を起こした。言ってしまえばこれは国際問題なのです、ダアトの人間だとはっきりわかる服装の人間がキムラスカの人間の住まう家に侵入したことが」
「ま、待ってください!確かに私はファブレ公爵邸にその・・・侵入は、しました・・・ですが私は個人としてファブレ邸に入りました、ダアトも神託の盾も関係ない事です!」
更にイオンはどんどんと追い詰める為にそれが大事だと述べていくが、ティアはたまらず侵入したことを力なく認めつつもダアトに神託の盾とは関係ない事だと叫び出す。
「だからどうしたというのですか?それを僕に話した所でどうとなるものでもありません。それを証明したいと言うなら大人しくジェイドに捕らえられた状態でバチカルに行き、そこで申し開きをしてください。貴女が迷惑をかけたのはルークもですが、ファブレの方々にひいてはキムラスカなんですからね・・・まぁどちらにしても貴女が神託の盾の人間としてふさわしくない行動を取った事には変わりありませんが、それはおわかりですか?」
「・・・はい・・・」
だがそんな声を一蹴しながらイオンは冷たい視線で蔑みの言葉を送ると、ティアは下を向き気まずそうに口をつぐむ。
「理解しているなら素直に縄についてください・・・と言う訳です、ジェイド。ティアを牢屋に連れていってもらえますか?今話した通りティアはバチカルで起こした事件についての罪状があります。それらを元にバチカルに行って彼女を引き渡し、ルークを丁重にお連れすればインゴベルト陛下の覚えもめでたいかと思われます。ただ逆に彼女を捕らえないとなればキムラスカもマルクトの誠意を疑うと思いますが・・・いかがしますか?」
「・・・わかりました。ティアを牢屋に連れていけ!」
「はっ!」
その様子からもう反論の力はないと見てイオンは多大に損得を訴えながら牢屋に入れるか入れないかをジェイドに問いかけ、ジェイドは特に反論をすることもなく入口近くにいた兵士にティアを牢屋に連れていくよう命じる。











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