必然は偶然、偶然は必然 epilogue

「・・・お待ちしていましたフリングス少将、導師。この度皆様の案内をつかまつりました、セシル少将です」
「お久しぶりですね、セシル少将」
「はっ、お久しぶりです」
船から一同が降りたところで待っていたのはセシル少将で、イオンは穏やかな笑みで再会の挨拶をする。
「出来ればこのまま再会を喜びたいのですが、参りましょう。城では皆様の到着に合わせて歓迎の用意をしていますし、ルーク様を始めとした重臣一同もお待ちしています」
「わかりました。では行きましょう、フリングス少将」
「えぇ」
「では私の後についてきてください」
セシル少将は会話もそこそこに職務に忠実に城に向かうことを口にし、二人もすぐに頷きセシル少将の案内により城へと向かう・・・












・・・それでセシル少将先導の元でバチカルの城に入ったイオン達は謁見の間でインゴベルトに会って歓迎の旨を伝えられた後、用意された客室へと通された。



「・・・失礼するよ、サフィール」
「・・・どうされたのですか、ウッドロウ?」
・・・それで兵士達と違い一応フリングス付きの立場であるため、一人部屋をあてがわれたサフィール。



そんな部屋にウッドロウが来たことに、椅子に座っていたサフィールは何の用かと視線を向ける。
「いや、イオン君の元にルーク君が話をしたいと来たのでね。それで貴方も呼ぼうという事になり、私が来たんだ」
「ルークが?よく時間が取れましたね、成人の儀の用意で忙しいでしょうに」
「元々私達が来る時には時間を取れるようセッティングしていたみたいだよ。準備はあらかじめしていたみたいだから今日は時間の事は心配はしないでいいとのことだそうだ」
「成程、そうですか・・・わかりました、行きましょう」
「あぁ、付いてきてくれ」
ウッドロウはルークが来たから呼びに来たと言いサフィールは意外そうに口を開くが、訳に準備は万端と返された事に納得して椅子から立ち上がり行くとウッドロウに従う。









「・・・あぁ、来ましたね」
「おっ、随分とめかしこんだなサフィール。神託の盾の時の服か白衣くらいしか見てなかったからなんか新鮮だな、その姿」
「本当です」
「っ・・・その言い方はないんじゃないですかと言いたいのもあるんですが、アリエッタ・・・貴女、なんでここにいるんですか・・・?」
それで部屋に入るとイオン達が出迎えを和やかな顔でしてくれたわけだが、そこでルークの言葉に反応しつつもサフィールの疑問の視線は自然にルークの隣にいるアリエッタへと向けられていた。
「彼女は僕からの働き掛けでキムラスカにダアトから派遣したんですよ・・・そもそもの事を言いますが三年前からダアトが方針を変える中で預言士が預言を詠まなくなった事で、キムラスカやマルクトの各地から引き上げさせたりその土地に順応したなら職に就くように僕らは動いてきました。ただその方々はダアトから派遣した身でもある事から各地の情勢の報告であったり交流をする役目も預言士として以外に果たしていたんですが、それが出来なくなった事でならと発案したんです・・・今までのように預言士はいなくなったから、ダアトから各地に派遣するのは最低限の人員に済ませようと」
「あぁ、そう言えば預言士の元々の役割はそうでしたね。預言を詠む以外での役割はキムラスカやマルクトで言うところの特派員のような役目を担っていると・・・で、その役目にアリエッタが選ばれたと言うわけですか」
「そうなります。彼女はこちらについたという経歴もありますから、実績に信頼という点で選ばせていただいたんですよ」
・・・三年前の時点における預言士の役割は天気だったり献立だったりを詠むような日常的な物さえ詠めば、預言士と言うのは基本的に日常でのお役目はあまりないと言えた。だからこそ預言士は預言を詠む中で特派員の役割も兼任していた。余計な人員を省くためと暇な時間の有効な活用をするために。



かつてのダアトはそうだったと話を聞いて思い出し、人員整理の結果アリエッタが来たのではと言うサフィールにイオンもそうだと嬉しそうに理由を口にする。








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