必然は偶然、偶然は必然 epilogue

「・・・む?ちょっと待ってください。ヴァンにモース達はティアとやらと一緒に裁いたのですか?」
「えぇ。ヴァン達をケセドニアより呼び戻し樽豚を裁く時も近かったので、ついでにティアも一緒にしました。牢に入れ続ける意味もありませんでしたし、まとめて終わらせた方がちょうどよかったのでね」
「そう言うことですか」
しかしふとヴァン達の処分のタイミングをティアに合わせたのかを聞くサフィールだが、逆だと口元を笑ませながら返すイオンに納得する。
「・・・そう踏まえればそう言ったモース達の排除の結果、そこからダアトの変革が始まったと言うわけですか。立場上そんなに外の情報は中々入ってきませんが相当に変わったとお聞きしましたよ、ダアトの在り方が」
「えぇ、それもウッドロウさんのおかげです」
「謙遜することはない。それはイオン君が導師としてよくやっているからだよ」
そしてサフィールはそれからのダアトの変遷の事を切り出せば、イオンはウッドロウのおかげと言うがウッドロウはイオンの力だと互いに誉めあう。
「・・・まぁどちらもよくやっているということでよろしいとして話を続けますが、これからダアトはどうするおつもりなのですか?私が聞いた話では預言を詠まなくなった後のダアトの雇用制度の見直しを始めとして色々な改革に取り組んできたそうですが、それもまだ今のダアトの位置をオールドラントでどうしたものかと確立するには少し足りない気がするのですが・・・」
妙に仲良さげなその様子にサフィールは話を無理矢理戻しつつ、本来ピオニーから頼まれた用件を達成すべくこれからのダアトについて静かに探るように問い掛ける。



・・・サフィールが聞いたダアトの変革とは、預言を詠まなくなった事によるダアトの存在意義の変化の為の変革である。元々ダアトという地は預言によって人が集まり、その恩恵によって繁栄してきた地だ。預言が無くなった今となっては神託の盾の存在意義も薄くなり、教団に偏向した考えを持つ者も世界全体を見ても少なくなった。事実ダアトから人が相当に流れていく時期もあった。教団の名の元に集まった者達は教団に魅力を感じなくなりまともな働き口を見つけに行くために。

しかしその人が流れるという経緯の上で、実はダアトはキムラスカやマルクトにその人々を出来る限りの紹介をした。これはウッドロウからの発案と後で発表されたのだが、仕事に目的を見出だせなかった人々を無理にダアトに留めておく事に加え、職のない人間を増やすよりはまともに働き口を見つけてもらった方がいいとその人々にキムラスカとマルクトの両国で働けるようにとの気遣いだ。

この気遣いにより人々及び両国はダアトに対し預言を有する団体として以外の面に畏敬の念を抱かせ、感心をさせた。それよりダアトは少しずつ変革を始めていったのだが、まだサフィールが言うよう預言の存在の関係ない新たな位置を力強く確立するのに足りないのも事実だった。



「その件に関してでしたらバチカルについてからお話しますよ。どうせこの事についてはルークの協力もですが、マルクトの協力も必要な事ですからね。まとめて話した方が手間はかかりません」
「・・・そうですか、わかりました」
しかしイオンは後で話すと暗に今の状態での開示を拒否し、サフィールはそれ以上強く言えず頷くに留めた。















・・・その後会話は穏やかな雑談へと切り替わり、船は一路バチカルへと向かった。



・・・そして数日後、イオン達を乗せた船はバチカルの港へと到着した。










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