必然は偶然、偶然は必然 epilogue
「・・・なんというか、その・・・ヴァンの妹がそこまでになるとは思っていませんでしたよ・・・」
「ティアの基本的な考え方は誰かありきで成り立ってたんですよ。自分にとって都合の悪い事も含めてね。けどティアはその事を真実の意味で理解してないから他者の行動に酷く影響を受ける・・・それも気になってる人間からとなれば尚更です。その点で言えばさしずめヴァンとリグレットに樽豚は好意に敬意があったからその好意に引きずられ、ルークは元々の印象で終始下に見ていたことに引きずられたことになるでしょう。現にティアはルークに人の言うことに左右されてどうするというようなことを言っていたのに、自身で何回もそのことに引きずられ悪循環に陥っていましたからね。だからそれを踏まえて言えば・・・自分の事を省みず相手に原因があるとしか思わずにずっといたから、そのように壊れたのだと思います。自身が培ってきたものが自分の力のみで出来た物ではないことだと、それが露になったことで」
「・・・その時ようやく気付いた訳ですか。愚かですね・・・そもそも教官にリグレットをつけるなどという破格な事があったことも、元はと言えばヴァンの甘やかしの一端だというのに」
そして力なく首を横に振りつつサフィールは呆れるが、他者に依存していたからこその自身の立場に誇りだった事を気付かされたからだとイオンから聞きまた呆れを見せて同じように首を横に振る。
・・・ティアの行動原理はイオンの言ったように他者がありきの考え方であった。そもそもの行動原理を言ってしまえば兄と一緒にいたい・・・ここから始まっているのだが、それを理解しないままいたものだから自身の根底に何があるのかを把握しないまま動いてきた。それこそ今の自分の立場がどのような物で成り立ってきたか、全く疑いもしないままに。
そしてそれを助長してしまったのは他の誰でもなく、元々の原因のヴァンだ。六神将を直に教官につけ、自身が刺された事も謹慎という破格の処分に留めた・・・これらのことはティアを増長させ、勘違いさせてしまった。自分の行動は間違っていないのだから、兄を止めるのは自分でありそうするためならという考えに至ることで・・・それがヴァンの過保護からもたらされた虚構に成り立っていて、その実他者への依存の形を生んでいたのだと気付かず・・・
「まぁ本当に全部理解出来たかはさておき、そうなってしまったことからトリトハイム達はさっさと牢にティアを入れ直したそうです。そしてしばらくしてヴァン達に樽豚を裁くとなった後、共に処断をさせていただきました・・・その後はどう過ごしてたかは知りませんが、見る影もないほどやつれていたそうですから相当に疲弊していたのでしょう」
「そうでしょうね。プライドは高そうでしたからそのプライドが木っ端微塵になってしまったならまず立ち直れないでしょう。それにそのプライドも元はと言えば誰かに寄りかかっていて支えがあって成立していたもの・・・それが無くなれば再起は余程の物がなければ出来なかったでしょうね」
・・・そんなティアに訪れた結末は敬愛していた二人と共に死する事。
あっさりとその時の様子を語るイオンに、サフィールもだろうとその根拠を眼鏡を押さえつつ述べる。
・・・ティアは道を誤った、いやその道がいかなものに繋がっていてどのように構成されているか・・・その意味を考えることもなくただ進んでいった。
その道は以前であれば様々な偶然の上で奇跡的に一時とはいえ、英雄という立場にまで繋がった。しかしその後は凋落するしかない道だった。
もしもう少しでも周りを見て本来頼るべきを頼り、知らず知らずの他者への依存を無くして自立出来たならティアは本当の意味で英雄となれたやもしれない。兄を止め、真にユリアの子孫として相応しいと見られる形で。
・・・しかしもうそんな仮定に意味はない、ティアは依存をしていた兄達と共にこの世にいないのだから・・・
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「ティアの基本的な考え方は誰かありきで成り立ってたんですよ。自分にとって都合の悪い事も含めてね。けどティアはその事を真実の意味で理解してないから他者の行動に酷く影響を受ける・・・それも気になってる人間からとなれば尚更です。その点で言えばさしずめヴァンとリグレットに樽豚は好意に敬意があったからその好意に引きずられ、ルークは元々の印象で終始下に見ていたことに引きずられたことになるでしょう。現にティアはルークに人の言うことに左右されてどうするというようなことを言っていたのに、自身で何回もそのことに引きずられ悪循環に陥っていましたからね。だからそれを踏まえて言えば・・・自分の事を省みず相手に原因があるとしか思わずにずっといたから、そのように壊れたのだと思います。自身が培ってきたものが自分の力のみで出来た物ではないことだと、それが露になったことで」
「・・・その時ようやく気付いた訳ですか。愚かですね・・・そもそも教官にリグレットをつけるなどという破格な事があったことも、元はと言えばヴァンの甘やかしの一端だというのに」
そして力なく首を横に振りつつサフィールは呆れるが、他者に依存していたからこその自身の立場に誇りだった事を気付かされたからだとイオンから聞きまた呆れを見せて同じように首を横に振る。
・・・ティアの行動原理はイオンの言ったように他者がありきの考え方であった。そもそもの行動原理を言ってしまえば兄と一緒にいたい・・・ここから始まっているのだが、それを理解しないままいたものだから自身の根底に何があるのかを把握しないまま動いてきた。それこそ今の自分の立場がどのような物で成り立ってきたか、全く疑いもしないままに。
そしてそれを助長してしまったのは他の誰でもなく、元々の原因のヴァンだ。六神将を直に教官につけ、自身が刺された事も謹慎という破格の処分に留めた・・・これらのことはティアを増長させ、勘違いさせてしまった。自分の行動は間違っていないのだから、兄を止めるのは自分でありそうするためならという考えに至ることで・・・それがヴァンの過保護からもたらされた虚構に成り立っていて、その実他者への依存の形を生んでいたのだと気付かず・・・
「まぁ本当に全部理解出来たかはさておき、そうなってしまったことからトリトハイム達はさっさと牢にティアを入れ直したそうです。そしてしばらくしてヴァン達に樽豚を裁くとなった後、共に処断をさせていただきました・・・その後はどう過ごしてたかは知りませんが、見る影もないほどやつれていたそうですから相当に疲弊していたのでしょう」
「そうでしょうね。プライドは高そうでしたからそのプライドが木っ端微塵になってしまったならまず立ち直れないでしょう。それにそのプライドも元はと言えば誰かに寄りかかっていて支えがあって成立していたもの・・・それが無くなれば再起は余程の物がなければ出来なかったでしょうね」
・・・そんなティアに訪れた結末は敬愛していた二人と共に死する事。
あっさりとその時の様子を語るイオンに、サフィールもだろうとその根拠を眼鏡を押さえつつ述べる。
・・・ティアは道を誤った、いやその道がいかなものに繋がっていてどのように構成されているか・・・その意味を考えることもなくただ進んでいった。
その道は以前であれば様々な偶然の上で奇跡的に一時とはいえ、英雄という立場にまで繋がった。しかしその後は凋落するしかない道だった。
もしもう少しでも周りを見て本来頼るべきを頼り、知らず知らずの他者への依存を無くして自立出来たならティアは本当の意味で英雄となれたやもしれない。兄を止め、真にユリアの子孫として相応しいと見られる形で。
・・・しかしもうそんな仮定に意味はない、ティアは依存をしていた兄達と共にこの世にいないのだから・・・
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