「僕はあくまでもピオニー陛下がキムラスカと対等に平和な関係を結びたいという気持ちで仲介を申し出たいと聞いたからこうやってこの場にいるのです。ただルークをジェイドが恐喝紛いに協力しろと言っている行為、これは言ってみれば格下に対して取るような行為です。力を用いればお前なんか好きに出来る、だから早く降伏しろと言う対等な関係を結ぼうと言っているような物とは到底かけ離れた・・・ね」
「で、ですがルークはキムラスカの代表などではありません！ファブレ公爵ならともかく、ルークがキムラスカを代表するなんてとても・・・」
「「・・・っ・・・」」
イオンがゆっくりとジェイドの行動を批難する理由を語るが、ティアから返ってきたのは必死にルークはキムラスカの代表などではないとイオンに対してだけ気遣った反論。その言葉を聞き、同時にルークとイオンは手で顔を覆う・・・まさかここまで言うとはと言った思いを必死に顔を隠す為に。
「・・・では話を変えましょう。ジェイド、貴方は何の地位についていないただのキムラスカの平民を連れていき、インゴベルト陛下に謁見させて和平の申し入れを口添えさせたら、それで和平を成功させることが出来ると思いますか？」
「・・・いえ、正直そのようなことは思いません。そもそもこのような事を申し出たのは言いにくいのですが、ファブレ公爵の子息であると予測がついたからなので・・・」
「成程・・・まぁ今はジェイドの発言は置いておきましょう・・・っ！」
「っ！」
・・・一々説明するのは馬鹿らしくて仕方ないが、ここは目の前の大馬鹿を叩き伏せさせるよう説かなければいけない。



イオンが顔から手をどけた冷たい声色の質問にジェイドはまだルークの立場があって頼んだ事を理解しているだけに気まずそうに返答し、それを聞きイオンは以前には全く見せなかった人を殺せそうな鋭い目付きでギラッとティアを睨み付けビクッと萎縮させる。
「ティア・・・この話で貴女もわかりますよね、ルークが民とは違いインゴベルト陛下にも意見出来る人間であることが？」
「はい・・・」
そして有無を言わさず威圧的な優しい声の問いかけを投げ掛けると、ティアは体を小さくして震えながら視線を反らし答える。
「・・・っ」
その傍らでアニスはイオンの豹変に信じられないと言った様子の目を向けている姿をルークは見ていた。
「そんな人物でありキムラスカの次期王となられるルークに貴女はあろうことか代表ではないと言った・・・今僕がこうやってルークと呼べるのはあくまでもまだキムラスカの王ではないから対等の立場で敬語を取り払って欲しいと言われたからなのですが、貴女はそれらを全く考慮せずに先程の言葉を放った・・・貴女は何を言っているのですか、先程から・・・」
「イ、イオン様・・・」
そのアニスの姿からルークが再びイオン達に目を向けると、イオンがさりげにタメ口は自分は許可があるから言っていると含めつつ軽蔑の眼差しを浮かべてティアを批難し、ティアは何か言い訳をしようと焦りながら首をフルフルと振る姿がある。
「・・・それにそもそもですが、何故貴女とルークがバチカルとは遠く離れたこのマルクトにいるのか。詳しい理由を聞いてはいませんでしたね・・・ルーク、出来れば貴方の口からその経緯を話してはいただけませんか？言ってはなんですが、このままティアの言葉だけを鵜呑みにしてうやむやなままで終わりにしてはいけないと感じた物で」
「・・・あぁ、いいぜ」
「ちょっ、ちょっと・・・」
「ティア、貴女は黙ってください。僕だって貴女を信じたいんですよ？ただここで貴女が制止をかければやましい事があると自分で明かすような物だとわからない訳・・・ありませんよね？」
「は、はい・・・」
そこからイオンはここに来た訳を改めて聞きたいとルークに言い、ルークは口角をわずかに上げ話すと言う。すかさずティアは話を止めに入ろうとするが、イオンから拒否を許さない盛大な目が笑わない笑みつきの言葉にあっさり圧殺される。
「ではお話していただけますか？」
「あぁ・・・」
反論を封じた所で、イオンのフリにルークはゆっくりと話始める・・・










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