必然は偶然、偶然は必然 epilogue
・・・その時サフィールには相当に異例の提案がされた。それは死刑になる前にジェイドに会うかという提案である。
その提案にサフィールは少し時間を空けた後、首を縦に振った。最後の会話をジェイドと交わす為に・・・
「・・・久し振りですね、ジェイド」
「ディスト・・・このような所に何の用ですか?まさか私を笑いにとでも言うつもりでしょうか?」
・・・三年前のグランコクマの牢屋にて、囚人服を着て中に入っているジェイドと格子越しにその姿を外から見ているサフィール。
再会の挨拶を述べるサフィールにジェイドは自虐染みた皮肉で返す。
「笑いになど来ません・・・最後の挨拶をしに来ただけです、私は」
「最後の、ですか・・・貴方にしては随分と落ち着いていますね、サフィール。自分で言ってなんですが、私が死ぬとなったら貴方は外聞もなく鼻を垂らして泣きわめくと思っていたのに・・・」
「昔の私だったならそうだったでしょうね・・・そして兵力に自分の作った譜業があれば、神託の盾に引き入れるからなどと言い今の状況から是が非でも貴方を助け出そうとしたでしょう・・・」
ただサフィールは落ち着いた様子で揺るがず返しジェイドは意外そうに言葉を漏らすが、自身の内を漏らすその言葉にはこだわりをいい意味で吹っ切ったからこそのかつての感情を認める許容があった。
「ですがそうした所で残るのは結局私が貴方を救ったと、共にいれるという自己満足だけだったでしょう・・・いかにそれが愚かかを考えもしない、ね」
「自己満足、ですか・・・貴方の口からそんな言葉が出てくるとは思いませんでしたよディスト・・・」
そして自嘲気味の笑みと共にそれは正しくないと言い切るサフィールに、ジェイドはどこか苛立たしげに視線を背ける。
「・・・その点では私は貴方には謝らなければいけませんでしたね、ジェイド。度々貴方の言葉をスルーしてきたことは」
「えぇ、何故今更という気持ちでいっぱいですよ。最初からそうしていれば私も貴方の事など気にせずに済んだというのに・・・」
「っ・・・」
そんな姿に申し訳ないと口を開くサフィールだが相手を見ようとしないジェイドの機嫌は明らかに降下している。そう見て苦い顔に変わるサフィールだが表情を改め、意を決して口を開く。
「ジェイド・・・貴方、今の状態に不満があるんですか?」
「・・・まさか。地位剥奪にカーティス家からの追放に関してはとっくに受け入れていますよ」
「ですが死刑になるまでとは思ってなかった。だからこその不満ですか?」
「っ!?・・・いきなり何を・・・!」
「・・・ジェイド、冷静になった今なら貴方の事は私も多少は分かります。貴方は相手からして明らかに一気に心象が下がりかねない本音を言うことはありませんが、その反面誤魔化しのきかない程の本音はボロが出るのを避けるためか口に出すことすら嫌う・・・だから貴方自身が言った二つの事柄に関しては本当に納得しているのでしょうが、死刑に関しては明確に口にしてない。だから不機嫌そうな貴方の姿を見て私は思ったんです。今の状態には本当に不満なのだと」
「・・・っ!」
・・・サフィールの初めてとなるだろう、ジェイドへの揺さぶりはこれ以上ない形で成功した。
静かに口にされた自身への言葉達にジェイドは怒りの代わりに驚きを表情に浮かべ、静かでいて確かな確証を滲ませるサフィールの言葉を裏付けするかのよう唖然とした様子で否定の言葉を返せず気付けばその顔を相手に向けていた。
「・・・ジェイド、もうこの後貴方に会うことはもうないでしょう。ですからせめて私に言われる筋合いはないと分かっていながらも最後に言わせていただきます。この場に来ないピオニーの分も含めて」
そしてサフィールは表情を悲し気に歪ませながら告げる、最後の言葉を送ると。
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その提案にサフィールは少し時間を空けた後、首を縦に振った。最後の会話をジェイドと交わす為に・・・
「・・・久し振りですね、ジェイド」
「ディスト・・・このような所に何の用ですか?まさか私を笑いにとでも言うつもりでしょうか?」
・・・三年前のグランコクマの牢屋にて、囚人服を着て中に入っているジェイドと格子越しにその姿を外から見ているサフィール。
再会の挨拶を述べるサフィールにジェイドは自虐染みた皮肉で返す。
「笑いになど来ません・・・最後の挨拶をしに来ただけです、私は」
「最後の、ですか・・・貴方にしては随分と落ち着いていますね、サフィール。自分で言ってなんですが、私が死ぬとなったら貴方は外聞もなく鼻を垂らして泣きわめくと思っていたのに・・・」
「昔の私だったならそうだったでしょうね・・・そして兵力に自分の作った譜業があれば、神託の盾に引き入れるからなどと言い今の状況から是が非でも貴方を助け出そうとしたでしょう・・・」
ただサフィールは落ち着いた様子で揺るがず返しジェイドは意外そうに言葉を漏らすが、自身の内を漏らすその言葉にはこだわりをいい意味で吹っ切ったからこそのかつての感情を認める許容があった。
「ですがそうした所で残るのは結局私が貴方を救ったと、共にいれるという自己満足だけだったでしょう・・・いかにそれが愚かかを考えもしない、ね」
「自己満足、ですか・・・貴方の口からそんな言葉が出てくるとは思いませんでしたよディスト・・・」
そして自嘲気味の笑みと共にそれは正しくないと言い切るサフィールに、ジェイドはどこか苛立たしげに視線を背ける。
「・・・その点では私は貴方には謝らなければいけませんでしたね、ジェイド。度々貴方の言葉をスルーしてきたことは」
「えぇ、何故今更という気持ちでいっぱいですよ。最初からそうしていれば私も貴方の事など気にせずに済んだというのに・・・」
「っ・・・」
そんな姿に申し訳ないと口を開くサフィールだが相手を見ようとしないジェイドの機嫌は明らかに降下している。そう見て苦い顔に変わるサフィールだが表情を改め、意を決して口を開く。
「ジェイド・・・貴方、今の状態に不満があるんですか?」
「・・・まさか。地位剥奪にカーティス家からの追放に関してはとっくに受け入れていますよ」
「ですが死刑になるまでとは思ってなかった。だからこその不満ですか?」
「っ!?・・・いきなり何を・・・!」
「・・・ジェイド、冷静になった今なら貴方の事は私も多少は分かります。貴方は相手からして明らかに一気に心象が下がりかねない本音を言うことはありませんが、その反面誤魔化しのきかない程の本音はボロが出るのを避けるためか口に出すことすら嫌う・・・だから貴方自身が言った二つの事柄に関しては本当に納得しているのでしょうが、死刑に関しては明確に口にしてない。だから不機嫌そうな貴方の姿を見て私は思ったんです。今の状態には本当に不満なのだと」
「・・・っ!」
・・・サフィールの初めてとなるだろう、ジェイドへの揺さぶりはこれ以上ない形で成功した。
静かに口にされた自身への言葉達にジェイドは怒りの代わりに驚きを表情に浮かべ、静かでいて確かな確証を滲ませるサフィールの言葉を裏付けするかのよう唖然とした様子で否定の言葉を返せず気付けばその顔を相手に向けていた。
「・・・ジェイド、もうこの後貴方に会うことはもうないでしょう。ですからせめて私に言われる筋合いはないと分かっていながらも最後に言わせていただきます。この場に来ないピオニーの分も含めて」
そしてサフィールは表情を悲し気に歪ませながら告げる、最後の言葉を送ると。
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