必然は偶然、偶然は必然 epilogue

・・・そんなサフィールをさておきとトントンと話は進み、気付けばマルクトとダアトの代表達は共同でバチカルに向かう船に乗っていた。









「・・・随分とあっさり同行が決まりましたね・・・まぁ特に国交上で問題もないからなんでしょうが・・・」
そんな船の甲板で、サフィールは一人進路先を見据えたそがれながらもすぐに決まった同行にまだ軽く意外そうに考えにふけっていた。
「・・・すみませんサフィール、よろしいですか?」
「っ・・・導師、それにウッドロウも・・・いいのですか、フリングス少将の方に行かなくても・・・」
「フリングス少将には既にお話は通してあります・・・ご一緒してよろしいですか?」
「・・・えぇ、私でよろしければお付き合いしましょう」
その時ふと後ろからかかってきた声に振り返れば、サフィールの目に飛び込んできたのは穏やかな笑みを浮かべたイオンとウッドロウの二人。そんなイオンにフリングスの方はと言えばもう許可は取った上で来たと返され、サフィールは覚悟を決め頷く。フリングスにもお膳立てされたのなら受けないわけにはいかない、そう思い。
「まずはお久しぶりですね・・・貴方がそのような格好で来るとは思っていませんでしたが」
「今の私は軍属ではありませんから、軍服を来て華やかな場にと言うのはあまりにも場違いな行動です。それで出来る限り場に相応しいようこの衣装を仕立てたのですが・・・似合っていませんか?」
「いや、そんなことはない。その衣装は貴方にとてもよく似合っているよ」
「そうですか、ありがとうございます」
まずはとイオンが挨拶がてら前には見なかったその服装に軽い驚きを浮かべ、サフィールは当然の気遣いと言いつつ似合うかどうかを投げ掛ける。その問いにはウッドロウが似合うと返し、サフィールは素直に礼を述べ頭を下げる。
「どうやら元気でやっているようですね・・・一先ず安心しました。貴方の事は三年前ダアトに戻ってから聞いていませんでしたから、こうやっている姿を見ると色々と吹っ切れたようですね」
「えぇ、まぁ・・・何も知らない頃の私や、貴殿方の見てきたかつての混乱していたマルクトであくせくしていた私ならこう穏やかにはいられなかったでしょうね・・・」
取り乱す様子の見えないその姿にイオンは安堵の声を漏らし、サフィールも自嘲気味な笑みを浮かべながら同意する。
「・・・貴方は受け入れたのだな、友が死ぬとなったその事を」
「・・・えぇ、とても辛いことでした。ですがそれを受け入れようとしなければ、今の私はここにいなかったと思います」
今度はウッドロウが質問の意図する事を直に分かりやすく言えば、またサフィールは昔を懐かしむように上を向き天を見詰める。












・・・三年前にイオン達が出ていった後のグランコクマ。そこではピオニー達が今後の事を含めて様々と話を進めていった。

そんな中でルーク達の不興を買いカーティス家からのお家断絶という処置をくらったジェイドはどうするべきか・・・との議論もされていた。

この件に関しては重臣以下の面々はどうしたものかと考えた。いかに前にジェイドに厳しい処断を下したとは言えやはり皇帝のピオニーと立場を越えた親しい間柄にあると見ていた為に・・・しかしそれは当の本人のピオニーから死刑を切り出す旨が伝えられた事により、周囲の驚きはありつつもそれでということになった。

・・・そしていざ死刑に、となった前の時にサフィールにもこの事は知らされたのである。









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