必然は偶然、偶然は必然 epilogue

「ま、とにかくだ・・・今のお前を逃がしたってろくな事になりそうにないからな・・・きっちりと区切りはつけさせてもらうぜ。お前の死で色々な区切りをな」
「っ・・・てめぇごときに殺されてっ・・・なんだ、体が重い・・・!?」
話を戻しいよいよ殺すと言わんばかりのルークにアッシュは急いで立ち上がろうとするが、地面に手をつきつつようやく封印術の効果を実感して苦い顔を浮かべる。
「言ったろ、簡単な物だけど封印術を使ったって。そんなもん使われて今まで通り動ける訳ねぇだろ」
「っ、てめぇ恥ずかしくねぇのか!?んな手を使いやがって!」
「恥、ね・・・お前には一番言われたくない言葉だけど、あえて言うよ。そんなもん、お前をほっとくくらいならいくらでも罵られてやるよ」
「・・・っ!?」
ルークは呆れながら封印術の事を再度口にしアッシュは自分も敵の隙を突く事を棚に上げルークを見上げながら恥知らずと罵ってくるが、全く揺るぐ素振りもなく強い意志で恥知らずでいいと返され圧されて息を呑んだ。
「自分が恥知らずに今こうやって生きてる理由、それはお前らを放っておけなかったからだ。だからいくらでも言いたきゃ言えよ・・・もうこれ以上言わせるつもりはないけどな」
「っ!があぁぁぁっ!」
そのまま意志を強く込めいよいよ殺さんと剣を向けるルークに、アッシュはとっさに剣を持たないまま一気に立ち上がり必死な叫びと共に襲いかかる。






‘ズブッ’






「あっ・・・ガッ・・・!?」
・・・だが明らかに追い込まれた上で破れかぶれのその行動が実を結ぶ事はなかった、ルークが剣で胸を貫き刺したことで。



自身の胸に剣が生えている事に一拍遅れ気付いたアッシュは血を吐き出し、その剣を愕然と見る。
‘ブシュッ’
「がっ・・・!?」
「じゃあな、アッシュ」
そんな中で胸から引き抜かれた剣によりその痕から血を吹き出しアッシュは苦痛の声を上げ、ルークは最後の言葉を無感情に送り・・・






‘ザンッ・・・ゴロゴロゴロ’






・・・横なぎに剣を振り払い、アッシュの首を躊躇いなくはねた。抵抗も出来ずはねられたアッシュの首は場の片隅へと転がり、愕然とした表情のまま止まり横たわった状態になった。そして首から下の残った体も地面に倒れこんだ。
「・・・終わったな」
「お疲れ様でした、ルーク」
「あぁ・・・とりあえずここ出るぞ。可能性はないにしても大爆発が起きたらシャレになんないからな。後片付けはフリングス少将、お願いします」
「はい」
それでルークも剣を収めながら終わりと口にしイオン達が近付いて労ってきた訳だが、万が一を考え早々撤退しようとフリングスに後を任せ快い了承をもらいながらルーク達は退出していく・・・












・・・そしてルーク達は客間へと戻ってきた。
「これで終わり、だな」
「えぇ、そうですね」
それで入室し早速とボフッとベッドに座るルークにイオンが頷く。
「しかしまぁ・・・お前があんな風にアッシュに言えるとは思わなかったぞディスト」
「・・・貴殿方の言葉があったから、ですよ」
そして早速と話題をディストに視線に向けて振るルークに、ディストは重く頷く。
「貴殿方の話を聞き先程の戦いが始まる前に考えたんです。ジェイドの事だけでなく神託の盾としての事や他の事も含めて色々・・・そこで貴方に話し掛けられアッシュに責められた時に考えていたことが冷静に口に出てきたんです。昔の私なら例え冷たくされてもアッシュとの繋がりを消したくないが為に慌てて自己弁護したでしょうが、改めて考えると彼との間にそんな強い繋がりがあるとは思えなかったということを」
「それで冷静にあの時言葉が出てきた、と・・・」
「えぇ、自分でも意外でしたけどね」
それで様々な思いが入り交じった上での事だったと思い出すよう漏らし、ウッドロウが問い掛ければディストは自嘲気味た笑みを見せる。






6/50ページ
スキ