必然は偶然、偶然は必然 epilogue
・・・偶然が重なった故に集結した英雄達。その英雄達も本来招くつもりだけだった者を残し、元の世界へと戻った。その英雄達が戻った後、世界は変革の時を辿っていった・・・
「・・・サフィール博士、いらっしゃいますか?」
「どうされたんですか、フリングス少将?」
・・・全てが終わり、三年後のグランコクマの研究室の一角。そこに神託の盾のディストとしてではなく、シンプルな白衣に身を包んだサフィールという人物がいた。その場にフリングスがやってきて声をかけてきた事に、サフィールは何事かを問う。
「陛下がお呼びです。今すぐ手を空けすぐに私室に来るようにとのことです」
「私室に?・・・わかりました、すぐに向かうようにします」
その理由とは陛下、ピオニーからの呼び出し。フリングスの言葉にサフィールは一歩距離を取ったよう陛下と呼びつつ、手元の資料を片付けつつ了承を返す。
・・・数分後、サフィールはサッと片付けを終え皇帝の私室へと向かった。
「失礼します、お呼びでしょうか?」
「あぁ来たな、サフィール」
部屋に入室し敬礼をして用向きを尋ねるサフィールにピオニーはブウサギの頭を撫でつつ、微笑を浮かべる。
「サフィール、お前は知っているだろう。今度キムラスカでルーク殿の成人の儀が行われることを。それでその場にマルクトからもアスランかゼーゼマンを寄越す事は決定しているが、お前にもその一行に付いていってもらおうと思う」
「私が、でしょうか?」
「あぁ、この役目はお前が適任なんでな」
そのまま用事の本題を告げるピオニーにサフィールは意外そうに目を瞬かせるが、そう発した当人は自信を覗かせ頷く。
「今度の成人の儀には昔とは変わっているダアトから導師とその懐刀が来ると聞いたのでな。お前には旧交を暖めるついでにその導師やキムラスカについてはルーク殿から今どうなっているのか、探りを入れてきてもらう。アスランを行かせたなら警戒を持たれんだろうが、反面代表としての役割がある事でそちらに気が回せん事も有り得るんでな。そちらはお前に任せたい・・・やれるな?」
「・・・わかりました、慎んで承ります」
それで口にされるのはサフィールだからこその旧交を使用しての接触で、皇帝の顔で命令の強制力を帯びた問い掛けを向けるピオニーにサフィールはうやうやしく頭を下げ頷いた。
「・・・すまんな、わざわざ呼び出して・・・本来なら謁見の間で言いたかった所だが、あまり公にこの事を言っては対外的によく見られにくいんでな。それにあまり必要以上にお前に構うことも出来ないからな・・・」
「いえ、気になされないでください・・・まだ何か言われる事があるならお聞きしますが、戻ってもよろしいでしょうか?私もバチカルにとなれば当日までの準備にそれまでの仕事のスケジュールを立てねばなりませんので・・・」
「あぁ、わかった。下がっていいぞ」
「ハッ、失礼します」
そして用向きを伝え終え少し緊張感を抜かして内密に呼び出したことをピオニーは謝るが、サフィールは気にした様子を見せず首を横に振り準備の為に戻りたいと口にする。ピオニーがその申し出を受け入れ頷けば、サフィールは再び敬礼をしてから私室を退出していく。
「・・・変わるもんだな、俺もあいつも。この三年ですっかり変わっちまった・・・そしてジェイドは、あいつはいない・・・」
一人私室に残ったピオニーは漏らす、寂しさを盛大に滲ませた声を。
「今となっちゃサフィールの方が俺よっかしっかりしてしまってるし、もうちょい俺も割り切るべきなんだろうな・・・」
更に自分とサフィールを比較した上で自分を下だと評価し、自分のいたらなさに情けないとピオニーは力ない笑みを浮かべた。
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「・・・サフィール博士、いらっしゃいますか?」
「どうされたんですか、フリングス少将?」
・・・全てが終わり、三年後のグランコクマの研究室の一角。そこに神託の盾のディストとしてではなく、シンプルな白衣に身を包んだサフィールという人物がいた。その場にフリングスがやってきて声をかけてきた事に、サフィールは何事かを問う。
「陛下がお呼びです。今すぐ手を空けすぐに私室に来るようにとのことです」
「私室に?・・・わかりました、すぐに向かうようにします」
その理由とは陛下、ピオニーからの呼び出し。フリングスの言葉にサフィールは一歩距離を取ったよう陛下と呼びつつ、手元の資料を片付けつつ了承を返す。
・・・数分後、サフィールはサッと片付けを終え皇帝の私室へと向かった。
「失礼します、お呼びでしょうか?」
「あぁ来たな、サフィール」
部屋に入室し敬礼をして用向きを尋ねるサフィールにピオニーはブウサギの頭を撫でつつ、微笑を浮かべる。
「サフィール、お前は知っているだろう。今度キムラスカでルーク殿の成人の儀が行われることを。それでその場にマルクトからもアスランかゼーゼマンを寄越す事は決定しているが、お前にもその一行に付いていってもらおうと思う」
「私が、でしょうか?」
「あぁ、この役目はお前が適任なんでな」
そのまま用事の本題を告げるピオニーにサフィールは意外そうに目を瞬かせるが、そう発した当人は自信を覗かせ頷く。
「今度の成人の儀には昔とは変わっているダアトから導師とその懐刀が来ると聞いたのでな。お前には旧交を暖めるついでにその導師やキムラスカについてはルーク殿から今どうなっているのか、探りを入れてきてもらう。アスランを行かせたなら警戒を持たれんだろうが、反面代表としての役割がある事でそちらに気が回せん事も有り得るんでな。そちらはお前に任せたい・・・やれるな?」
「・・・わかりました、慎んで承ります」
それで口にされるのはサフィールだからこその旧交を使用しての接触で、皇帝の顔で命令の強制力を帯びた問い掛けを向けるピオニーにサフィールはうやうやしく頭を下げ頷いた。
「・・・すまんな、わざわざ呼び出して・・・本来なら謁見の間で言いたかった所だが、あまり公にこの事を言っては対外的によく見られにくいんでな。それにあまり必要以上にお前に構うことも出来ないからな・・・」
「いえ、気になされないでください・・・まだ何か言われる事があるならお聞きしますが、戻ってもよろしいでしょうか?私もバチカルにとなれば当日までの準備にそれまでの仕事のスケジュールを立てねばなりませんので・・・」
「あぁ、わかった。下がっていいぞ」
「ハッ、失礼します」
そして用向きを伝え終え少し緊張感を抜かして内密に呼び出したことをピオニーは謝るが、サフィールは気にした様子を見せず首を横に振り準備の為に戻りたいと口にする。ピオニーがその申し出を受け入れ頷けば、サフィールは再び敬礼をしてから私室を退出していく。
「・・・変わるもんだな、俺もあいつも。この三年ですっかり変わっちまった・・・そしてジェイドは、あいつはいない・・・」
一人私室に残ったピオニーは漏らす、寂しさを盛大に滲ませた声を。
「今となっちゃサフィールの方が俺よっかしっかりしてしまってるし、もうちょい俺も割り切るべきなんだろうな・・・」
更に自分とサフィールを比較した上で自分を下だと評価し、自分のいたらなさに情けないとピオニーは力ない笑みを浮かべた。
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