必然は偶然、偶然は必然 第二十二話

・・・ディストにとってジェイドという存在は幼なじみというくくりの中でも特別な存在だ。ネフリーはジェイドの妹だが女性という事がありあまり気安い存在とは言えず、ピオニーは皇族という立場にある上に科学者のディストとわかり会うには頭の使い方が違う・・・故に自身と同等以上の頭脳を持ち、同じ立場で考えられるジェイドはディストにとってかけがえのなく得がたい存在だった。

だがディストはネビリムもそうだが、ジェイドに盲目に固執してきたことで人生における時間の大半を消費してきた。何も他のことに目を向けることなく。

そんな盲目なディストの目をルーク達はどうにか覚まさせようと思ったのだが、元々の思い込みの強さの分時間が必要だと思ってもいた。

故にルーク達はここでジェイドの事を諦めてもらうように状況が望んでいると伝え、後はディストが出来る限り早く復活出来る事を願っていた。もうジェイドをこれ以上求めてもなんにもならないと、それを理解した上で復活出来る事を・・・






「・・・んじゃま、ゆっくりしてろよ。なんか用があったら話しかけてくれ。あんまこっちから話し掛けられても迷惑だろうしな」
「お心遣いありがとうございます、では・・・」
・・・話も終わったと見た所で、ルークは気遣いを見せ改めて休むよう勧めの言葉を向ける。ディストはその気遣いに頭を下げ、部屋の片隅の椅子の方へと向かう。
「・・・これで残りはアッシュ、ですね」
「まぁな」
ディストが輪から離れた所でイオンがルークに話し掛けると、神妙な表情で頷く。
「ルーク、大丈夫、ですか?」
「ん、大丈夫だよ。ま、変に失敗するわけにはいかないってだけは思ってはいるけどな」
そんな姿にアリエッタが心配そうに声をかけるが、至って普通に首を振るルーク。
「それに変に気負ったり怯えたりする俺ってのも嫌だし、不安だろ?アリエッタから見たら」
「それはそう、ですけど・・・」
「心配すんなよ、俺は失敗しない。だから安心して俺を見ててくれ、アリエッタ」
「っ!は、はい・・・」
そして相手を安心させるよう自信を覗かせる優しい笑みを見せるルークに、アリエッタは瞬時に頬を赤く染めてコクコクとただ頷いた。















別れの時は訪れた



同時に始まりの時も訪れた



それらが何をもたらすかは時の流れだけが示すことになる



next story is epilogue









29/30ページ
スキ