必然は偶然、偶然は必然 第二十二話

「・・・ではディスト、この際ですから貴方も見ますか?ルークがアッシュを倒し、アッシュが息絶える瞬間を」
「え・・・?」
それで続けて出てきたまさかの言葉にディストはキョトンとした、何故アッシュが死ぬ瞬間を見ねばならぬのかと。
「何故という顔をしてますね、ディスト。ですが貴方の疑問も最もなのでそれにお応えしますが、これが区切りになるからですよ」
「区切り・・・?」
「えぇ、もうヴァンもモースも表舞台に出ることはありません。僕達がダアトに帰れば二人に彼らに付き従ってきた神託の盾はことごとく処分をする事が決まっているので、二人以外は心変わりをすれば救いようはありますが二人に関してはそうするつもりはありません。それに外殻大地降下も終えプラネットストームの停止も終えた以上は貴、方も何もやることは出来ません・・・貴方が出来るのはこれからどうするか、それを決めることです。僕達と共にダアトに神託の盾として戻るか、神託の盾を辞めてマルクトに残るのかをね」
「っ・・・それはつまり、アッシュを倒した時には決めろと・・・私に私自身の行く末を・・・」
「そういうことです」
そんな姿にイオンは説明する、自身の発言はどのような意味なのかを。その意味にディストは気付き呆然と声を上げる中、イオンは笑顔を浮かべ頷く。
「ただ何個か言わせていただきますが、もしダアトに戻るのなら貴方にはもう六神将の地位はないものと思っておいてください。リグレットにアリエッタの二人はまだこちらに思い直して付いてくれたという事から情状酌量の余地は大いにつきますが、貴方は二人に比べれば早々と捕縛されたとはいえ強い意志でこちらについた訳ではありませんでしたからね。神託の盾に戻るなら地位の降格は覚悟していただきます。それで余程でなければ昇進が出来ないことも」
「・・・まぁそれくらいは仕方ないでしょうね。私はヴァン達に協力していたのですからね」
「えぇ。それでですが神託の盾を辞めてマルクトに仕えるというのなら地位こそなくなりますが、一応僕がピオニー陛下に取り成しはしたいと思います。貴方をマルクトで雇っていただけるように・・・ただこちらもいい扱いをされると決まった訳ではないということは理解しておいてください。それとディストという名ももう使えないということも。一応ダアトから離れるとは言え六神将としての名ではトラブルが起きた時に面倒ですし、ピオニー陛下も絶対に貴方を甘やかして受け入れるとは思えませんからね」
「っ・・・そう、ですか・・・」
それでどちらに行った場合のデメリットを話すイオンにダアトにいくと仮定した時は納得していたが、マルクトに行った時の仮定に表情を歪める。
「・・・ディスト、もう貴方は決断する時が来たんですよ。貴方の想うネビリム先生という方以外にどうするべきか、自分で選択する時がね」
「なっ・・・何を、導師・・・!?」
「俺もそう思うぜ、ディスト・・・まぁこれは俺が実際にレプリカのネビリムと対したから言えることだけど、前って結局最後までネビリムって人の復活を諦めなかった。そのレプリカを相手にしたからこそその危険性、そして復活を諦められたって言ってもいいような状態になってマルクトで動くことになった。ようやくって形でな・・・なぁディスト、お前も話聞いてわかってんだろ?決して昔のような状態になることはないってな」
「・・・っ!」
その揺れにすかさずイオンが真剣な面持ちで自分で考えるようにしてはと切り出し驚くディストだが、続けて入ってきたルークがかつての対峙からのことを更に畳み掛けられた事で言葉を失う。
「なぁディスト、考える時間はまだある。だから考えてくれよ、これからどうするかを」
「・・・」
更にルークが切に考えてほしいと願ったことにディストは何も返せずただ影を残しうなだれた。







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