必然は偶然、偶然は必然 第二十二話

「見送りも終わったわねー・・・じゃあ行きましょっか。次のグランコクマで私らの旅も終わりなんだから」
「あぁ・・・行くか、グランコクマに」
そんな場にあっけらかんとしたハロルドの声が響き、ルークが頷き一同は踵を返しタタル渓谷を何も言わず後にしていく・・・もう終わったことと言葉にするにはハロルド以外は名残惜しい物であると考えるが故に・・・















・・・そんなルーク達はアルビオールに戻りギンジにこれからの航路についての指示を出した。その航路とは次のグランコクマの後はダアトに行き、その後バチカルに行きそれでシェリダンに帰ればもう自分達は乗せなくてもいいと。

これはもうグランコクマに行った後は本格的にルークとイオン達が離れて活動するため、元の場所に帰るための道筋として各地に送るための航路だ。その点で人数の多いダアト側から先に送るのは正しい判断と言えた。これからより変わらなければならない優先順位も高いだけに。

ギンジはそんな指示を快く受け入れ、最後にこのメンバーでやるべきことのある地であるグランコクマへとアルビオールを飛ばした・・・









・・・そして辿り着いたグランコクマだが、大して長居するつもりもなかったことからルーク達は部屋と共に戦える場所と、ディストを呼び出すようピオニーに願った。その申し出を快くピオニーは受け入れ、早速とルーク達は用意された部屋へと通された。



「・・・お待たせしました、導師」
「そんなに待っていないので大丈夫ですよ」
それで通された部屋で待っていたルーク達だが、然程時間もかけず現れたディストにイオンは笑顔で首を横に振る。
「とりあえず時間もそんなにかけるつもりもありませんので、早速説明を始めましょうか。まだやるべきことは残っていますからね・・・」
そしてさっさと本題に入ると言い出すイオンに、ディストは身を固くしかけながらも真剣な面持ちで話を聞く体勢に入る・・・












・・・それからイオンにルークの前回の事も交えた説明は驚き戸惑うディストの質問をいくらか挟みながらも、順調に順々に進んだ。最初こそ何をと否定を口にしたディストだが神託の盾の同僚であったリグレットやアリエッタにすら話していなかった自身やネビリムの関連の事柄、それにかつての未来でジェイド達がどのような事をしてきたのかを聞く内にそれらの言葉が出てくることはなくなっていった。



「・・・とまぁ、これが僕達の経験してきた事ですよ」
「・・・だから、貴殿方はそのようなことだからこそ我々の事を余すことなく知っていたのですね・・・それもまさか、あのネビリム先生のレプリカの事までなんて・・・」
「そういうわけです。そしてこのマルクトもジェイドやガイに任せていたら面倒な事になりかねない、と言うことも知っています。貴方が水面下でピオニー陛下を支えていたからこそ、マルクトが崩れずしばらく持ちこたえていたことも」
そして全て話終わった訳だが沈痛な面持ちのディストに、イオンはありのままの言葉を向ける。
「ディスト、貴方は今の話を聞いてどう思いましたか?」
「・・・正直な考えを言うなら信じたくない気持ちが半分、それが事実なのだという事を認めねばならないという考えが半分です。貴殿方が言ったことを世迷い言と否定する証拠がありません。むしろ肯定する以外に材料がありませんが・・・ただそれを受け入れるにはまだ、心の準備が出来ません・・・」
「・・・成程・・・」
そこでイオンが単刀直入な質問をぶつけるとディストは視線を背けながらも事実とは思うがまだ受け入れられないと途切れ途切れに口にし、その姿に少しの間を空け頷く。










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