必然は偶然、偶然は必然 第二十二話

「・・・んじゃ行くか。特にやることもねーしな、もう」
「あぁ、行こう」
そんな空気にただ自身も簡潔にと出立を口にするルークにディムロスが頷き、一行はラジエイトゲートを後にしていく・・・
















・・・それですぐにアルビオールにまで戻り、別れの地のタタル渓谷に向かうルーク達。しかしそこには会話がなかった。近い別れを思ってか誰も声を発することなく・・・






・・・そんな状態でアルビオールはタタル渓谷に着き、ルーク達は一応人目につかないところにという配慮でセレニアの花畑にまで向かうこととなった。

しかしそれも今のルーク達からすれば大した道程とは言えないので、すぐに花畑まで到着した。



「・・・これで終わり、なんですね・・・セネル達とも・・・」
「・・・まぁな」
・・・いよいよ送らねばならない時が来た。その時になり帰ることとなった三人と対するルーク達の中、アリエッタが悲しそうな声で話しかける。
「・・・これは俺も止めるわけにはいかないからな。元の場所に戻りたいってセネル達は言ってるし、戻らなきゃいけない訳もある・・・セネル達を止める権利は俺達にはないんだよアリエッタ。元々俺らの行動でここに来てしまったんだしな、皆」
「はい・・・」
そのアリエッタにルークはそっと肩に手をやりなだめるように声をかければ、悲し気だが静かに頷く・・・アリエッタも分かってるのだ、もう別れは避けられないことを。
『・・・言葉を挟んでしまって済まぬが、我はしばらく三人を送るためオールドラントには戻ってこれぬ。故にルーク、そなたらはそなたのやるべきことをやるがいい。戻ってきたなら我はそなたの元に行って音譜帯に昇り、今度こそ音譜帯でそなたらの行く末をただ見守ることとしよう』
「あぁ、わかった」
そこにローレライが鍵から出てきた上で今後の事を話し、ルークはその流れにそっと頷く。
『ではハロルド、行く前にこれを渡しておこう、約束の・・・第七音素を結晶化させたものだ。これならそなたの要望に答えられると思うが、どうだ?』
「・・・うん、悪くないわ!これなら私の作る装置のエネルギーに十分よ!ありがとね、ローレライ!」
『これくらいはお安い御用だ』
次にローレライは自身の体の中から第七音素の結晶と言うよう光輝く水晶の球のような塊を出してハロルドに渡すと、満面の笑みで十分と返された事に大したことではないとまた返す。
『・・・では行くが準備はよいか?』
「・・・あぁ」
「ちょっと待ったローレライ・・・せめて最後に言葉を贈らせてくれ」
『・・・あぁ』
気を取り直し改めて元の場所に帰すと言うローレライにクラトスが頷くが、ルークが手を前に出し最後の言葉をと願って流れを止める。
「・・・今までありがとうな、三人共。この旅の時間、俺はすごく楽しかったしすごい世話になった」
「それは僕もです。特にセネル・・・貴方は戦うための稽古の相手をしてくれました。本当に感謝しています」
「そこまで言うことじゃない。俺はただちょっと手伝っただけさ」
「私も感謝しているよ、クラトス。貴方は私の迷いを晴らす言葉をくれた。その事に私は感謝してもしきれない」
「構わん。私は私が思うままに言葉を送っただけだからな」
『・・・ディムロス。お前なら分かっているとは思うがあの荒れ果てた世界を作り替えるのはその時代を生き抜いてきたお前たちだ。後生が大丈夫なら大丈夫などと気を抜くなよ』
「あぁ、分かっている」
それでルークの言葉を皮切りに一同は別れの言葉を交わす、思い思いに笑顔を浮かべ。
「・・・多分もうお前らに会うことはないと思うから、言わせてくれ・・・ありがとう、皆」
「・・・あぁ、俺も楽しかったよ」
「私も久々だった、こんな時間はな」
「君も元気でな、ルーク君」
そして最後の言葉と言わんようルークが礼を言い、三人は各々の言葉で返す。
『別れは済んだな・・・では行くぞ、三人とも』
「あぁ」
『・・・はあぁぁっ!』
‘カッ!’
それでもう終わりと機を見て出発と声をかけたローレライにクラトスが答えれば、少しの間を空け気合の入った声と共にローレライは自身の光で自身と三人を包み込む。
「・・・・・・っ、ローレライに三人の姿がない・・・と言うことは、行ったのだな・・・」
「・・・あぁ・・・」
・・・それで光が収束し完全にローレライすらもいなくなった時には、三人の姿はそこにはなかった。



リグレットがその光景に少し寂しげな確認の声を上げると、ルークも静かにそれを認め頷いた・・・もう三人に会えない、その事を認め。









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