必然は偶然、偶然は必然

『・・・はい?』
『・・・何を言い出すんですか?ローレライ?』
いきなりのローレライの言葉に、二人はやはり何事なのかと怪訝な反応を見せる。
『本来ならこの方法だけはとりたくなかった・・・だがここまで世界が混乱してしまうくらいならいっそやり直したほうがいい。だから二人には過去に行ってもらう』
『待て待てローレライ』
『僕たちを無視して話を進めないでください』
二人の意志を全く知らないといった感じで進めるローレライに、ルーク達は早く止めなければ流されると感じ語尾を強める。
『何だ、二人とも』
『とりあえず先ずは俺達の疑問に答えてくれ。何がなんだかわからないから』
『そうですよ。じゃないと僕たちもどうしていいかわからないんですから』
『む・・・わかった』



『まず・・・過去に戻すってどういうことだよ?』
『先程も言ったであろう。この現状を打破してもらいたいからだ』
『ですが、人を過去に戻すなんてそんなこと出来るんですか?』
『本来はやってはいけないのだがな』
『・・・やれるのはいいとしても、なんで今なんだ?別にもう少し早くてもよかったんじゃないか?』
『それはそなたらの心境を考えてのことだ。我が下界に関わることは出来ん。ならば誰に頼むかといえば、そなたたちしかいない。しかしそなたらに頼むとなれば確実に心苦しいことになると我は見ていた』
『心苦しいこと?』
『・・・この際だから、はっきり言おう。彼の者達には英雄としての名を外してもらおうと考えていた』
『それはつまり、彼らに歴史から消えてもらうということですか?』
サラっと恐ろしいことを口にだすイオン。ローレライが横のルークを見ると、それを理解して尚平気な顔をしている。
『あぁ、そういうことだ』
もうこの二人には躊躇いはない、そう雰囲気から察したローレライは遠慮なくあっさりと言い放つ。
『何だ、そういうことか。ならもう少し早く言ってくれてもよかったのに』
『えぇ、僕もそのような事なら最初から喜んで協力したのに』
かつての仲間達にどのような結果が舞い降りるのか、それを案じるどころか楽しみにさえしている二人。
『・・・これも当然か』
その二人の態度もローレライには納得出来る。いくらなんでも人を蔑ろにしすぎた態度を彼の者達はルーク達にとってきた。二人は生まれてまだ時間の足りない子供といっても差し支えない状態だったからこそ、不満を口にすることを心の中で留めていた。それは子供であるからこそ理不尽な人の言葉に敏感故の処置でもあった。



・・・音譜帯に来た始めの頃、ローレライは旅の頃の話をルーク達からよく聞いていた。しかしローレライはその話を聞けば聞くほど絶句した。こんな環境でこんな子供がよくぐれない者だとすらローレライは思いもした。しかし本音を聞けばやはりルーク達も不満を持っていたとのこと、それを知ったローレライの呟きには怒りと呆れの入り交じった感情が渦巻いていた。










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