必然は偶然、偶然は必然 第二十二話

「・・・まぁディストの事はまた後程にしましょう。明日にはまたダアトに飛ぶかもしれませんので、今日はもうゆっくり休んで明日に備えましょう」
「あぁそうだな」
しかしとディストの事はいいと言うイオンに、クラトスも他の者もそれ以上何かを言うこともなくただ頷いた。









・・・そして翌日、ルーク達は謁見の間に通された。その結果としてマルクトはルーク達の言うことに全面的に賛成をして協力をすると、ピオニーの口から宣言された。そしてその意志をしたためられた書状をルーク達に手渡してきた。この事によりマルクトの協力は確定となった。

それでもらうものはもらったということでルーク達は挨拶も済ませすぐにグランコクマを離れ、今度はダアトへと向かった・・・















「・・・先人達が危機を先伸ばしにしたが故に今の状況が生まれた、ですか・・・」
・・・一足飛びでアルビオールでダアトに飛んだルーク達は、導師の私室にてトリトハイム達と対面していた。そこで一同はトリトハイムを代表とした詠師達を前に説明を終えると、詠師達は揃って苦い顔を浮かべていた。
「トリトハイム。僕はルークの話を初めて聞いた時、与太話と切り捨てられる物では到底ないと思いました・・・貴方達はどう思いますか?」
「・・・正直な所で言えば、私もそう思いました。ただユリアシティの事を考えると、始めからあそこに住む者達が聞けばあまり気持ちのいい話ではないでしょうね。私はあそこの出身ではないが故にそういった意見が出ますが・・・」
「・・・成程、妥当ですね」
それでイオンがどう思ったのかを問い掛けると、そのままの表情で賛同しつつユリアシティはとトリトハイムが言ったことに重く頷く。



・・・今までのユリアシティは預言実行の為の監視者の街としての役割を担って活動してきた。しかしルークの考えに照らし合わせるならユリアシティの者はいわば、先人達が守ってきた滅びの為の道筋を強引に推し進めてきたと言うことに他ならない・・・それはつまり、滅びの道を知らず知らずとは言え作ってきたと言うこと。

そんな事実を突き付けられればいい気持ちなど起きるはずもない、トリトハイムの言葉はそれを物語っていた。



「・・・やむを得ません。トリトハイム、ユリアシティ側にはその事は伝えないようにしてください。話をして妙な方向に事態がこじれたら面倒な事になります。あちらにはあえて外殻大地降下の際は障気の中和は遅れてやることだけ伝えるようにお願いします」
「はい、わかりました」
・・・そう聞いたからこそ余計な事を耳に入れさせたくはない。イオンはユリアシティ側にはその事は言わないようにと念を押すと、トリトハイムも迷うことなく頷いた。
「ありがとうございます・・・では僕達はこれからバチカルに向かうので、後の処置をお願いします」
「あ、少々お待ちを導師・・・少し元大詠師の事について言わなければならないことがあります」
「・・・モースのことですか?」
快い了承に礼を言いつつイオンは早く部屋を出ようとする。しかしトリトハイムからモースの事を切り出され、何をと足を止めた。
「はい・・・罪状を明らかにしましたが、まだ今の時点でどのように罰するのかが決まっていません。それでいていつに罰するのかを・・・それでなのですが、元大詠師をどうするのかと言うのを導師の口からお聞かせ願いたいのですが・・・」
「成程、もうそのような時期に来たと言うことですか・・・」
それで続いて口にされたモースの処分についてとの声に、イオンは少し考え込むよう口に手を当てる・・・言われてみれば確かにモースの罪状を明らかにしてから結構時間が経った。だが今現在モースをどうするかと言うのはまだ明らかにしていない。それらを踏まえればトリトハイムがトップの導師に意見を伺うのは当然と言えた、モースの処分はそろそろしなければいけないと分かるだけに。
「・・・ちなみにお聞きしますが、貴殿方はモースの判決はどうすべきと思っていますか?」
「・・・我々は死刑にすべきと、内外併せて示しをつけるならそうするべきと思っています」
「そうですか・・・」
少し間を空けて詠師側の考えを手をどけてイオンが問えば、全員一致で死刑とトリトハイムが示した事に一つ頷く。
「・・・わかりました。僕もそうするべきではと以前から思っていました。ですが今からすぐにと言うのはゴタゴタするのが目に見えてますので、キリをよくする為にもモースの事は外殻大地降下の後に回したいと思います。それでいいですか?」
「はい、わかりました。その方向で話を進めましょう」
そしてイオンが考え出した結論は外殻大地降下の後で処分すると言うこと。トリトハイムに詠師達はその案に納得し、そうすると頷いた。







19/30ページ
スキ