必然は偶然、偶然は必然 第二十二話

・・・ルークのかねてから考えていたことの発表により、インゴベルトの納得は得られた。






・・・それで次はグランコクマに行きピオニーの前でもまた自身の考えを盛大に明かしたルークだが、こちらも結果ルークの言葉に納得して同意をしてくれた。この辺りはピオニーの人柄を把握していたのもあって、イオン達は特に心配した様子もなくルークの言葉を聞いていた。

そしてインゴベルトからマルクトでどのような結論が出るかを聞いてから戻るようにと言われたことを受け、ならとピオニーは早急に重臣を集めて会議をするから宮殿に滞在してくれと言いルーク達はその言葉をありがたく受け取り滞在することにした。






「・・・マルクト側の結論が出るのは明日って所か?」
「だと思うよ。ただ遅くても明後日かしあさってだろう。キムラスカに対し早く返答を返さねばならないのもあるが、こういう物は下手に議論を長引かせた所で今ある物をただ惜しみどうにか保持したいという意見が出るのが関の山だ。ピオニー陛下もそれを熟知しているだろうから早々と結論を出してくるだろうね」
それで宮殿の客室の中、椅子に座るセネルの向かいにいたウッドロウがその問いに答える。然程返事をもらうのに時間はかからないだろうと。
「・・・失礼します」
「あれ?フリングス少将、どうされたんですか?」
「いえ、ディストから研究が終わったと報告が来ましたので私がその事をお伝えに来ました」
「!・・・そうですか」
そんな部屋にフリングスが入ってきたのでイオンが何事かを問うと、ディストの研究の完成との報告にルークが表情を緩めかけるが口元を引き締め直す。
「すみません、フリングス少将。今からディストをここに連れてきていただいていいですか?出来るならでいいですが、話を聞きたいんですが・・・」
「えぇ、そうおっしゃると思いましたので部屋の前に連れてきています。私は部屋の前でお待ちしていますので、ゆっくりお話しください」
「すみません、気を使っていただいて・・・」
「いえ、ではごゆっくり・・・」
イオンはすぐにディストを連れてきて欲しいとフリングスに願うが、もう連れてきてるから話すようにと自身は場から離れることも含めて告げる。そんな気遣いにイオンは頭を下げるがフリングスは謙遜して首を振り、部屋の外へと退出する。
「・・・ど、どうも・・・お久しぶりです、導師・・・」
「えぇ、お久しぶりですディスト。まぁ立ち話もなんですからこちらに腰かけてください」
「はい、では・・・っ・・・!」
それで入れ替わりに入室してきたディストは怯えを浮かべながら挨拶をしてきて、イオンは返事をしながらもベッドに座るよう手で案内して勧める。その動作に逆らうことなくディストは足を進めるが、その周りにルーク達が各々取り囲むように集まったことに表情をひきつらせながらベッドに腰掛ける。
「・・・さて、早速ですが研究の成果をお聞きしましょうか」
「え、えぇ・・・ただ貴殿方はフォミクリー技術についてある程度詳しいのでこれらはご存知の事でしょうが、どうすれば大爆発を防げるのか・・・その結論に至るための話をしますので、それまでの話はおさらいも兼ねてお聞きください。よろしいですか?」
「えぇ、わかりました」
準備が出来た所でイオンが話をするように言うと、説明に前置きがいるから聞いて欲しいと最初怯えていたものの研究者としての顔で切り出すディストに一同はイオンを代表にして頷く。






15/30ページ
スキ