必然は偶然、偶然は必然 第二十二話

「よし、着いたな・・・つってもまだ外殻大地を降ろす訳にもいかないから、とっとと起動状態させてバチカルに行こうぜ」
「あぁ、そうだな」
ラジエイトゲートの地に降り立ちはしたものの全くの気負いも見せず今後の展開をルークは口にし、セネルも同意したところで一同は先へと歩き出す。












・・・それでラジエイトゲートのパッセージリングの操作板の前に難なく辿り着いた訳だが、ルークはまた何の苦労もなく操作板をポンポンと操作していく。
「・・・よし、これでここのラジエイトゲートの操作板で操作すれば全部外殻大地の降下は出来るようになったな」
『ではルーク、バチカルに行くぞ。その次はグランコクマだ』
「あぁ、わかってるよ」
そして操作も終わり皆の方に振り返るルークにローレライが再度バチカル、更にはグランコクマと言ったことに頷き一同は来た道をすぐさま後にしていく・・・






・・・さて、ルーク達が何故バチカルだとかグランコクマに行くのにこだわるのかと言えば今後の展開の為だ。

ローレライが実在したことを示して音素をもう使えないと理解してもらうようにしなければいけない上で、預言は本当に滅びを詠んだ物とわかってもらわねばならない・・・そうするためには緊急を擁する事態、と思わせねばならないのだ。勿論ルーク達は万全の準備をした上で行動に入るのだが、あくまで表向きはまさかの事実を知ることになった・・・そう見せるためである。

そしてその為にはやはり国の協力はいやが上にでも必要になる。故にバチカルやグランコクマに行く必要があるのだ。説得の為に。












・・・そのように考えるルーク達を乗せたアルビオールはラジエイトゲートから一路バチカルへと飛び、さして時間もかからず到着した。



「・・・すまない、私はルークだ」
「ル、ルーク様ですか!?い、一体何故こちらに・・・まだこのバチカルに戻ってくるなど、我々は聞いていなかったのですが・・・!?」
「緊急を擁する事態だ。すぐに陛下の元に伺いを立てて私達と謁見をしていただくようにしてほしい。更にこちらには導師もいて、その導師たっての願いでもあるので性急に頼む」
「ど、導師も・・・は、はい!ただちに・・・!」
・・・そしてバチカル城の門の前に来たルーク達。先頭のルークが貴族然とした威厳ある声で兵士に話しかけインゴベルトとの謁見を望むと言い切れば、その兵士はイオンを引き合いに出されたのもあり終始動揺したまま敬礼を返して城の中へと入っていく。
「お疲れ様ですルーク」
「別に疲れちゃいねーよ・・・ま、ここからの流れは多分気疲れは相当な物になるとは思うけどな」
「・・・本当に自分一人で陛下達を説得するつもりですか?」
「まぁ、な」
場に残ったルーク達の中でイオンがルークに話しかけるが、その言葉には心配の色がある。その事にルークは苦笑気味な笑みを浮かべる。
「ちょっと色々考えてな・・・それを思うと、自分一人でやりたいって思ったんだ」
「それは・・・陛下達と向き合う為に、ですか?」
「それもあるけど・・・また別に思う所があってな。ただそれをイオンの口から積極的に言わせる訳にもいかねーと思ったんだよ」
「僕に・・・?」
「・・・ま、その話は後々するからそれを聞いてどう思ったかってのはその時に言ってくれ。先に話すと多分リアクションが不自然になると思うからさ」
「・・・わかりました」
・・・ルークは何かを決心している、そうイオンだけでなく皆は感じ取った。苦笑を深めつつ話さないと暗に示すルークにイオンはそれ以上は何も言えず、周りのウッドロウ達も何も言うことはなかった。



・・・そして程なくしてルーク達は先程の兵士の案内により、インゴベルトの待つ謁見の間へと通された。










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