必然は偶然、偶然は必然 第二十二話

「別にいいですよ。それより早く食事を済ませましょう。あまり時間をかけすぎても執務が滞るだけですからね」
「・・・えぇ、そうしましょう」
部下の悩みを砕いたイオンは笑顔で食事を済ませようと言い、リグレットも同意して頷く。















・・・各々が各々、動く数日間。この時間は確かにルーク達にとって有意義な時間となっていた。
そんな時間もイクティノスから届けられた報告により、終わりを告げる。



「・・・そうか、わかった。すぐにダアトに戻る」
「どうだって?」
「大方予想してた通りになったらしい。だからイオン達を迎えにダアトまで戻るけど・・・ハロルド、お前どうする?ここに残っておくか、後は仕上げに入るから残るならそれで構わないけど・・・」
「私も行くわよ。別に急いで装置を作らなきゃいけないわけなんてないし、これをここに残しておいても問題はないでしょ。ここの人達なら変な風には扱わないでしょうし、そもそも扱えるとは思わないしね」
「そうか・・・んじゃダアトに戻るか」
・・・場所はハロルドが使っている工房の中。そこでイクティノスからの連絡を受けたルークは皆に声をかく、ハロルドも行くから問題ないと返してきたことでルークを先頭に工房を後にする・・・












・・・それで点検も済んでギンジの待機していたアルビオールに乗ったルーク達だが、特に何事もなくダアトへと戻ってきた。



「・・・来ましたね、皆さん」
「どうだって?」
「キムラスカもマルクトも国内に情報を行き渡らせたようです、両者が和平を結ぶことに外殻大地の事は。無論すぐには信じられないといった声も多数上がったそうです。特に外殻大地降下に関しては。ですからそう遠くない内に僕達が降下をすると示した上で、協力出来ることがあればこの手紙を出せば国内の施設を自由に使えるようにしたとの事です」
「成程・・・事態はこっちの望むように進んでるって事か」
それで導師の部屋に入ってすぐに状況確認の会話を交わすのだが、その順調な様子にルークも満更ではないと表情を緩ませる。
「ま、施設を自由に使っていいとは言われたけどこっちとしちゃそんな向こうに言った通りな障気の押し込みなんかする気はないんだけどな」
「えぇ、二度手間です」
だが続いたルークの障気の押し込みをする気はないとの言葉に、イオンも何のためらいなしに同意する。



・・・まぁこれは確かに二度手間なのは事実なのだ。考えてもみればあくまでタルタロスを使っての障気押し込みは元々から障気をしばらく地上に出させない為の、いわば時間稼ぎにしか過ぎない。本当に障気をどうにかしたいならプラネットストームを止めること及び、超振動での中和がなければ無理なことなのだ。

だが今は前と違い超振動の中和には宝珠が一体化したローレライの鍵がある上、ローレライ自身もルークが消えないようにして第七音素を集める役割を担えるという・・・つまりこの時点であえて手順として障気の押し込みをする意味はないと言える。

しかしそれをあえてすると言ったようにルーク達がインゴベルトに言ったのは何故かと言えば、現時点で鍵にローレライの協力があるなどと言える訳がないからなのだ。もしそんなことを言ってしまえば事態が妙な方向に転がってしまう可能性が非常に高くなってしまう為に。

故にルーク達はあえて何も言わず、ただ自身らが望む展開に持っていこうとしたのだ。そうすることで自然と物事を進めていくために・・・









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