必然は偶然、偶然は必然 第三話
「ここに来たのは僕自身の意志です。それを知っても知らなくても、一方的に人をただ罵るなど僕は見ていて気持ちいい物ではありません・・・貴女の上司は誰かは知りませんが、そのような浅薄な思考からの物言いは貴女だけでなく貴女の上司の品位までも疑います。少なくとも僕は貴女がルークに取った態度に対し、僕の目の届かない場所では神託の盾の兵士はこのように人に無駄に威張りちらしているのかとしか思えませんでした」
「!!」
冷えきった視線から飛び出す言葉の刃に、イオンに対しては無条件に弱い態度になるティアはハッと息を呑み顔を青くする。
「それらを踏まえて聞きますが、貴女の上官は誰ですか?拒否は許しません、言いなさい」
「・・・・・・大詠師モースです」
「モース、ですか・・・そうですか」
そして否定を許さぬ強い意志を込めた言葉にティアは間を空けるが話すことを拒否出来ずモースと諦めながら口にし、イオンはそのことに何の感情の震えも示さない声を上げる。
「・・・僕もモースの教育を疑いたくはありません。ですが貴女の発言は結果的に僕、それとルークに神託の盾のイメージを多大に降下させることとなりました・・・以後、気をつけてください。場合によっては直接モースに貴女の事をお話し、しかるべき処置を取ってもらいます」
「・・・はい」
そこからイオンはわざとらしさを感じさせず悲しげな声を出しつつも途中から唐突に厳しい威厳を伴った声に変え断固とした処置を取ると言うと、ティアはシュンと頭を下げ消え入りそうな声で了承と返す。
(こんな風にシュンとするだけならまだ可愛いげはあっけど、確実にコイツの心の中は俺に対しては態度を改めようとしてねぇのは明らかだな。今までの経験からそれはよく分かってるぞ)
そんな姿にルークは気分は良くはなっているものの、内心でルークに八つ当たりの感情をぶつけているに違いないと考えていた。
・・・前は上にいる立場の人間からティアはその態度に注意を入れられる事はなかった。だが今はイオンという教団最高地位にいる人間がちゃんとした経験を持って、その態度にツッコミを入れる事が出来る。これより以降はイオンのいる前では容易にはティアは下手な行動はしないだろうとルークは考えている・・・あくまでイオンのいる前では、だが。
「なぁ、それはもういいんだけど・・・お前ら誰なんだ?」
ひとまずティアが凹んでいる姿を見て満足なのはさておき、ルークは何も知らないフリをしてジェイド達の身分を問う。
「初めまして、ですね。私はジェイド・カーティスと申します」
「アニス・タトリンで~す♪探しましたよ~、イオン様~♪」
「・・・アニス、こちらの彼女とはどうやって知り合ったんですか?」
丁寧さより慇懃さが目立つジェイドの挨拶と先程の空気をあえて読まない気楽さが見えるアニスの挨拶に、イオンはその挨拶を無視しそのままティアと一緒にここに来た訳を問う・・・その際若干頬にひくつきがあるのを見たのはルークだけである。
「ティアはそちらにいるルークさんを探していてぇ、エンゲーブの人達に話を聞いたらイオン様と一緒に出ていったって聞いたから是非一緒にって大佐が言ってここに来たんです。けどなんで見張りを置いてたんですか、イオン様ぁ?おかげであたしたちはここでイオン様達が戻ってくるまでずっとにらみあってて動けなかったんですよぉ」
「あまり人を巻き込みたくなかったんです。ですがその甲斐もあってチーグルが食料を盗んでいた訳も分かり、その理由も解決しました・・・ご迷惑をおかけしてすみません」
その質問にティアと合流した訳を言いつつもアニスは見張りの二人を置いたことについてブーブー言い、イオンは一応頭を下げる・・・実際は全く謝ってなどなく、下げた顔の下で舌を出しているが。
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「!!」
冷えきった視線から飛び出す言葉の刃に、イオンに対しては無条件に弱い態度になるティアはハッと息を呑み顔を青くする。
「それらを踏まえて聞きますが、貴女の上官は誰ですか?拒否は許しません、言いなさい」
「・・・・・・大詠師モースです」
「モース、ですか・・・そうですか」
そして否定を許さぬ強い意志を込めた言葉にティアは間を空けるが話すことを拒否出来ずモースと諦めながら口にし、イオンはそのことに何の感情の震えも示さない声を上げる。
「・・・僕もモースの教育を疑いたくはありません。ですが貴女の発言は結果的に僕、それとルークに神託の盾のイメージを多大に降下させることとなりました・・・以後、気をつけてください。場合によっては直接モースに貴女の事をお話し、しかるべき処置を取ってもらいます」
「・・・はい」
そこからイオンはわざとらしさを感じさせず悲しげな声を出しつつも途中から唐突に厳しい威厳を伴った声に変え断固とした処置を取ると言うと、ティアはシュンと頭を下げ消え入りそうな声で了承と返す。
(こんな風にシュンとするだけならまだ可愛いげはあっけど、確実にコイツの心の中は俺に対しては態度を改めようとしてねぇのは明らかだな。今までの経験からそれはよく分かってるぞ)
そんな姿にルークは気分は良くはなっているものの、内心でルークに八つ当たりの感情をぶつけているに違いないと考えていた。
・・・前は上にいる立場の人間からティアはその態度に注意を入れられる事はなかった。だが今はイオンという教団最高地位にいる人間がちゃんとした経験を持って、その態度にツッコミを入れる事が出来る。これより以降はイオンのいる前では容易にはティアは下手な行動はしないだろうとルークは考えている・・・あくまでイオンのいる前では、だが。
「なぁ、それはもういいんだけど・・・お前ら誰なんだ?」
ひとまずティアが凹んでいる姿を見て満足なのはさておき、ルークは何も知らないフリをしてジェイド達の身分を問う。
「初めまして、ですね。私はジェイド・カーティスと申します」
「アニス・タトリンで~す♪探しましたよ~、イオン様~♪」
「・・・アニス、こちらの彼女とはどうやって知り合ったんですか?」
丁寧さより慇懃さが目立つジェイドの挨拶と先程の空気をあえて読まない気楽さが見えるアニスの挨拶に、イオンはその挨拶を無視しそのままティアと一緒にここに来た訳を問う・・・その際若干頬にひくつきがあるのを見たのはルークだけである。
「ティアはそちらにいるルークさんを探していてぇ、エンゲーブの人達に話を聞いたらイオン様と一緒に出ていったって聞いたから是非一緒にって大佐が言ってここに来たんです。けどなんで見張りを置いてたんですか、イオン様ぁ?おかげであたしたちはここでイオン様達が戻ってくるまでずっとにらみあってて動けなかったんですよぉ」
「あまり人を巻き込みたくなかったんです。ですがその甲斐もあってチーグルが食料を盗んでいた訳も分かり、その理由も解決しました・・・ご迷惑をおかけしてすみません」
その質問にティアと合流した訳を言いつつもアニスは見張りの二人を置いたことについてブーブー言い、イオンは一応頭を下げる・・・実際は全く謝ってなどなく、下げた顔の下で舌を出しているが。
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