必然は偶然、偶然は必然 第二十一話

「・・・話を戻すけどヴァン=グランツって人物はレプリカ大地計画を持って預言を覆し、世界を変える事しか考えようとはしなかった。そしてそんな人物に感化されてお前達は付き従ってきた・・・確かにそう言った迷うことのない姿勢は強さを産むかもしれない。けど裏を返せばそれはただ視野の狭い状態で何も見ようとしない、意固地な心の在り方を自分達で整える事になった」
「・・・だから私は、いや私達は何かを見ようとする余裕もなくただヴァンに付き従っただけと言うことになるというのか・・・」
「だと思うぞ、俺は。少なくとも前のリグレットはそうだった。謡将に付き従う事が絶対だって疑わない形でいて結果俺やティア達と戦って死んだ・・・けど今のリグレットは謡将の為に、なんて無条件で思いなんてしない。そうなったって言うかそうさせたウッドロウがいたからな」
「っ・・・ウッドロウ、か・・・」
そんな空気に話題を元に戻して核心を述べるルークにリグレットも自身で結論に至り、そうだと言いつつ今のこの状態はウッドロウがいてこそとルークから言われ名を呟きながら複雑そうな表情を浮かべる。
「多分さ、ウッドロウはリグレットの悲しみを理解したからこそ他に目を向けさせようとしたと思うんだよ。弟を失った悲しみを大義の為とかって理由付けして、本当は八つ当たりになってしまってることに気付かせる為にさ」
「・・・八つ当たり、か・・・確かに今となって思えば私の行動は八つ当たりだったのだな、マルセルの敵などと預言に世界を滅ぼそうとしたことは・・・マルセルはそのような事を望んでいないであろうと言うことを思いもせず・・・」
それでルークが八つ当たりと評した行動からウッドロウは救ったと言えば、リグレットは暗い面持ちで項垂れ弟の名を口にし後悔を滲ませる。
「・・・俺も前の事があるからリグレットの過去を少なからず知ってる、そして今のリグレットがその意味を見直して動いてる事も・・・けどさ、リグレット。お前がそんな風に悲しそうな顔してたらお前の弟もだけど、ウッドロウも悲しむと思うぞ?」
「・・・え?」
ルークはそんな姿に若干居心地が悪そうに頭をかきつつも自身の考えを口にし、リグレットをキョトンとさせて顔を上げさせる。
「リグレットの弟の事は少しくらいしか俺は知らないけど、多分弟の為に悲しめるリグレットがいたんだから、その弟も同じくらいにリグレットの事を好きだったと俺は思う。それでその弟と比較する訳じゃないけどさ・・・ウッドロウもお前の事どう見たってそんな悪い気持ちで見てないと思うぞ、俺は」
「っ!?・・・ウ、ウッドロウが私をそのように・・・!?」
「あ、あぁうん・・・」
それで流石にウッドロウのいない場で本音をぶちまけるわけにはいかないと思ったのか、抑えた表現で自分は好意を持っていると思うと告げるルーク。しかしいきなり驚きに頬を赤らめ信じられないと距離を詰めるリグレットに、少し押されながらもルークは頷く。
「ま、まぁとにかくさ・・・さっきみたいな顔してたらウッドロウの顔も同じように曇ると思うぞ。だから悩むなとかずっと笑顔でいろなんて言わないけど、もうちょい余裕を持てよリグレット。悩んだり苦しむだろう事もあると思うけど、その分色々な事を考えたりも出来るし自由なんだ。今のお前はレプリカ大地計画にこだわる理由もないからさ。だから昔の事を想う時があっても今を楽しめよ、仲間との時間を」
「!・・・自由に、か・・・フフ、なんだろうな。不思議と心が軽くなったような気がするよ、お前の言葉でな・・・」
そうなりながらもルークは体勢を立て直し、精一杯に自分なりの言葉を持って励ましにかかる。リグレットはそう聞き自然と笑みをこぼしていた、心が軽くなったと告げながら。
(よかった・・・リグレットもようやく楽になったようだな)
その姿にルークも自然と笑みを浮かべていた、自身の言葉がうまく届きリグレットを楽に出来た喜びで。











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