必然は偶然、偶然は必然 第二十一話

「・・・その点でですがウッドロウさんなら僕は然程心配はいらないと思っていますし、ウッドロウさん本人からも了承の旨はいただけました」
「・・・そうなのか、ウッドロウ?」
「まぁね。私としてもフローリアン君の助けになればいいと思って立候補したんだ。ただこれからの事をイオン君やリグレットと話をした中で私はダアトの方ににいた方がいいと判断した。故に私にフローリアン君の事を任せるのなら必然的にダアトに彼はいることになる」
「ちょっと待て・・・どういう事だ?これからの事って」
「・・・うむ、その事についても話をしよう」
それで話は戻り当人も了承済みとイオンから話を受け取りウッドロウが話すが、ルークがその中身に聞いてないと言い出したことに頷きを入れて表情と声を改めつつ話を開始に戻す。
「これからのダアトとキムラスカ・・・どちらが大幅に変わらなければいけないのか、そう聞かれたら君はどちらがそうだと思う?ルーク君は」
「・・・ダアトだな。これからの時代に預言は必要ないものになるって言うか、必要ないものにしなきゃいけないからな。その点で言うと今までローレライ教団で持ってきたダアトはキムラスカとマルクトとの関係性の改正に加えて、ダアト内部の改革が必要になる・・・旧体制のまま変わらなかったら、どうしても問題も発生するだろうしな・・・」
まずはとキムラスカとダアトのどちらが変化が必要か、そう聞かれルークはダアトと答えつつどこか苦々しげな様子を見せる。






・・・ルークが苦い顔をする理由、それはダアトの過去の失敗を知ってるからだ。ティアにアニス達が中心になってから預言を頼みにした求心力ではない新しい形でダアトを導こうとしたが、言ってはなんだが二人は兵士上がりの人間程度の器しかなくすぐにそれらの計画はことごとく頓挫していった。

そんな状態であった為に流石に資材がなければ何も出来ないとティア達も感じ、仕方なく前のように献金などを資金源にしばらくやっていったわけだが預言という旨味もなく成長どころか停滞するダアトに金を差し出すような者などそういるはずもなかった。これは後々のダアトの混乱に拍車をかける前の足掛かりとなった、以前より人々に衰えを感じさせる物として。

・・・こればかりはティア達だけに全ての責任があるとは言えない。今まで預言という物一つでローレライ教団というシステムを組み立てて来た重みというのは、このオールドラントでは想像以上に大きいものなのだから。そんなシステムに代わるものをすぐに、と言うのはティア達でなくとも無理があった。

しかしそんなシステムに代わるものはこれからどうあっても必要になる。それもそう遠くない内に。そしてその鍵と言うより近道を知っているとルークが思うのは、間違いなくウッドロウ以外にいないと確信していた。






「そうだね、私もそう考えている。そしてそうするからには遠く離れたキムラスカからより、ダアトにいて直接イオン君の手伝いをした方がいいと思ってね。だから私はダアトにいた方がいいと思ったんだ。もしルーク君が何か意見があるなら聞きたいのだが・・・何かあるかな?」
「・・・いや、ないな。そう聞いてウッドロウはダアトに必要だって思えたから、俺はそれでいいと思うよ」
「そうか、それはよかった」
・・・だからこそルークはウッドロウの話をすんなりと受け入れていた。その自身とイオンの考えに何かあるかと聞くウッドロウにルークはすぐに首を横に振り、ウッドロウは笑顔を浮かべた。











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