必然は偶然、偶然は必然 第二十一話

・・・それでルーク達は来た道を戻り、アブソーブゲートからアルビオールに乗って飛び立って離れていった。









『(・・・というわけだ)』
「(・・・そうだったな、そう言えば・・・前は色々あったからフローリアンもどうにか受け入れられたんだけど、今回はそうそう簡単にはいかないんだよな・・・)」
・・・そのアルビオールの中でルークはローレライから先程の話の経緯を聞き納得すると同時に、反対の席で窓から外を興味深そうに見てるフローリアンに視線を向ける。
「(・・・そうだな、今回はもうフローリアンに重荷を背負わせる訳にはいかないんだ・・・ローレライ、ちょっとこの事イクティノスに経緯も含めて説明してもらっていいか?俺もどうにかなんないか、色々俺なりに考えてみるから)」
『(・・・承知した)』
ローレライと心の内で会話を交わしつつも、その瞳に宿るのはかつてのフローリアンに対する悲しさ。それを声からも察したローレライはただ一言で返した。















・・・そんな風にルークが内心で色々考えつつも、フローリアンがハロルド達にも次第に懐きだした頃には一同はケセドニアへと辿り着いた。



「・・・これでいいのか?俺は髪を染めたことなんてないからわかんないんだけど・・・」
「あぁ、これでいいらしい。時間が経ったら色素も定着するらしいけど・・・フローリアン、もうちょっと頭触るのは我慢してくれよ?」
「う~ん、頭がムズムズする~・・・触りたいよ~・・・」
・・・それで着いて早々と染料を買ってきて手順通りにフローリアンの染髪に取り掛かったルーク達。



一通り終わった所でセネルが心配そうに首を傾げルークが大丈夫と首を振るが、フローリアンはただ気持ち悪そうに手をわしゃわしゃと動かしている・・・まぁ子供からしてみればやるなと言われた事はやりたくなるものだし、染髪を好む子供などいるはずがないので当然と言えば当然であろう。
「これで後数時間もすれば立派な黒髪に、か・・・髪を染めれる程豊潤に物資があったわけではないから人が髪を染めている姿を見るというのも中々新鮮な物だな」
「だけどなんで色々ある中から黒を買ってきてほしいって言ったの?他にも金とか白とかあったのに」
「別に理由って言われてもな・・・あんまりイオンと被らないような色で考えてる内に変に凝った物を選ぶより、黒がシンプルでいいかなって思っただけだからな~」
ディムロスはフローリアンを興味深そうに見つめる中、ハロルドの疑問の声にルークは頭をかきながら大した理由じゃないと返す・・・そう、フローリアンの髪の色は元の鮮やかな緑色ではなく黒色になっていた。まだ染めたばかりで色は定着してないが、ディムロスの言うよう数時間もすれば完璧に色も馴染んでくるであろう。
「ま、いいだろ。それよっかもうちょっと我慢しろよフローリアン?うまく我慢出来たら何か美味しい物食べさせてやるからな~」
「本当!?じゃあ僕我慢する!」
「へへっ、いい子だ」
そこでルークは自身で話題を変えてフローリアンに笑顔で話しかければ、驚いたのちに笑顔で首を縦に振る。ルークもそれにつられて笑顔を深め、肩にポンと手を置く。そしてその光景を周りの皆も温かい笑顔を浮かべながら黙って見ていた・・・









・・・そんなことがありつつもフローリアンの染髪も済んだところでルーク達はケセドニアを後にダアトへと飛んだ・・・










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