必然は偶然、偶然は必然 第二十一話

・・・しかし結局アニス達は聞く耳を持とうとはしなかった。そればかりか自分達と袂を分かったとフローリアンを見なし、敵対宣言までしたのだ。いかにも自分達は間違っていないばかりに、フローリアンと敵対する事への嘆きにより自分達がいかに悲劇的なのかと酔いしれる形で。

それで結局フローリアンはアニス達とわかりあうことなくルーク達が過去に戻るまで対立の図式を崩すことなく、ダアトの混乱の中心に居合わせる事になってしまった。皮肉にもその幼い純粋な優しさによりそうなってしまう形で・・・











『・・・だがハロルドよ、何故お前は問題があるという?今のフローリアンは変装さえさせればさして問題があるようには思えんのだが・・・』
・・・かつてを思い出したローレライは少し苦い想いをしながらも、ハロルドに何故そう思ったのかと問い掛ける。
「んー、髪を染めればいいとかそう言った問題だけじゃないわ。要はフローリアンにどう説明して、どう動いてもらうかを決めないとまずいんじゃないかって事を私は言ってるのよ。髪を染めるって事もあるしフローリアンは前と違って導師のレプリカとは言わないんだから、下手に何も考えなしに帰ってもあまりろくな事にならないんじゃない?言っちゃなんだけど、今度は立場的にフローリアンをそこまで特別扱い出来るとも思えないし」
「・・・確かにハロルドの言うことには一理あるな。以前と立場が違う分、フローリアンをどのように受け入れてもらうかとどのように注意を言い含めるのか。その見極めをうまくしなければ何か起こりかねないだろうな」
『っ・・・むぅ』
そんな問いにハロルドから出てきたのは以前との違いからフローリアンの受け入れ方を考えるべきとの返答。その現実的な物の見方にクラトスも同意を示し、ローレライも納得せざるを得なかった。
「でもどうするんだ?話し合いをするならイオン達とも話をした方がいいと思うけど・・・」
「確かにセネル君の言う通りだな。この話は我々だけで話をするべきではないだろう」
『・・・確かにな』
更にセネルにディムロスもイオン達にも言うべきと同意をしたことで、ローレライも頷く以外に出来ずにいる。
「・・・どうしたんだ、皆?」
「あっ、ルーク・・・」
そんな場にフローリアンと手を繋いできたルークが入ってきて首を傾げた姿に、困り顔でアリエッタが眉を曲げる。
「どうしたの、皆?」
「っ、え、えと・・・」
「・・・なぁ、とりあえずここ出ないか?ずっとここにいても何にもならないだろうしさ」
「・・・そうだな、そうするか。ホラ、行こうぜ。フローリアン」
「うん、ルーク!」
一同がどうとも言えない表情を浮かべる中フローリアンが警戒心なく首を傾げアリエッタは更に言葉に困るが、セネルが話題を変更し二人が同意したことで一同少し安心したように表情を緩ませた。
『我は鍵の中に入って共に行く。何かあれば直接話しかけてくれ(・・・ルーク、済まぬが出来ればこのまま声にせず話をさせてくれ)』
「っ・・・あぁ、わかった。じゃあ行こうぜ(・・・何があったか聞かせてもらうぞ)」
それでローレライがルークに近付いて鍵に入りつつも極秘に自分だけに通信をしてきたことにルークも表では頷きつつ、通信にて訳は聞くと言いながら一同と共に出口の方へと向かい出す・・・









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