必然は偶然、偶然は必然 第二十一話

「どうしたんだ、ルーク君?」
「いや・・・何か俺に超振動を使ってもらいたいらしいんだよ、ローレライ。それで超振動を使うから、皆はちょっと離れて見ててくれ」
「・・・了解した」
ディムロスがいきなりのその行動の意味を問えばルークは返答を返しつつ通路の際まで行き、鍵を縦に向けて構える。その姿にディムロスが了承した後、皆もその光景を見守る。
「さて・・・行くか!」
‘キイィィィンッ!’
・・・ルークが通路の際に寄った理由、それは超振動により通路に穴を開けない為。そんなさりげな気遣いと共にルークは鍵に第七音素を収束させ、地核の方へと向けて超振動を放った。
「・・・とは言ってもいつまでこうしてりゃいいんだ、俺・・・?」
『・・・済まぬ、ルーク。こちらにそなたの超振動が来た。我がそちらに来るまでもう少し頼む』
「あぁ・・・わかった・・・!」
しかしふとどれだけかけるのかを疑問に思ったルークだったが、心中にもう少しとローレライの懇願が来たことで気を入れ直し超振動の維持に集中する・・・



『・・・待たせたなルーク、もうよいぞ』
「・・・そうか」
・・・そして三十秒も経つ頃にかかってきたローレライの声に、ルークは超振動を放つのをやめそっと後ろに下がる。
「・・・お、来た・・・ってあれ、ローレライの中に人の形が・・・?」
それですぐに下から上がってきたローレライの姿にルークも気付くが、その体の中に人のシルエットらしきものが映っていたことに眉を寄せる。
『・・・こうやって顔を直に合わせるのは久しぶりだなルーク、そしてクラトス達も・・・』
「あれが、ローレライ、なんですか・・・?」
『む・・・アリエッタ、そなたとは初めてだった・・・そうだ、我がローレライだ』
「・・・あなたが、ローレライ・・・」
ローレライはそんな中で少し前に詰め再会の挨拶をするが、呆然としていたアリエッタに優しく声をかける。自分がローレライと。
「・・・なぁローレライ、お前その人影は・・・」
『む・・・そうだな。まずはこちらから説明しよう。だが気をつけろルーク・・・まだ我は目覚めさせてはおらん、慎重に頼むぞ』
「え・・・?」
‘カッ!’
「うっ・・・!」
しかし人影の謎が気になるルークはその事について聞こうとするが、ローレライが意味深な事を言いいきなり発光したことで戸惑い何も言えず後ろのメンバーと共に目が眩み押さえる。
「・・・ローレライ、お前・・・一体、何を・・・っ・・・!?」
「・・・ど、どうしたルーク・・・って、あれは・・・!?」
少しずつ目を回復させようと瞬かせながらローレライへの非難を口にしようとしたルーク・・・だが突然そこで止まったルークにセネルが何事かを問おうとしたが、ルークの視線の先にある姿を見てセネルも絶句した。



「・・・あれは、フローリアン・・・!?」
・・・その絶句の訳とは、その地面に仰向けになって目を瞑っているフローリアンの姿を見つけたからだった。



現に他の皆も一様に驚愕に目を見開いており、その名を呼んだルークも信じられないと言った様子で愕然としていた。
『そうだ。あれはフローリアンだ』
「ローレライ・・・お前まさか、地核でやることってまさか・・・!」
『そう・・・フローリアンを見つけ保護し、こちらに連れてくるためだ』
ただ一人この状況をローレライが平静に答えるが、その答えにようやくルークは至った・・・フローリアンの為という答えに。








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