必然は偶然、偶然は必然 第三話

「貴女方がチーグルの不注意より元々住処としていた森を焼かれ、やむを得ずこちらに来たというのは理解しています。そして食料が必要だということも理解しています。ですがチーグルが食料をエンゲーブから盗み出した事は少なからずエンゲーブの人に広まっています。このままではいずれ遅かれ早かれこちらに貴女方を討伐せんと人々が襲い掛かって来る可能性が高くなります・・・そちらに生まれてくる前の子供がいることはそちらにある卵を見ましたら、わかります。それを踏まえてあえて聞きます・・・今この場から離れる訳にはいかないでしょうか?」
「ミュウ、ミュ・・・・・・・・・ミュウ」
‘グゥゥ・・・グルル・・・’
「・・・そなたの言いたいことはわからんでもないが、今すぐ我々が移り住むには住処がない。そればかりは我々にはどうしょうもないと言っているですの」
「そうですか・・・」
クイーンが大分空気を落ち着かせたとは言えやはり無いものはないとしかクイーンも答えようがない。ミュウからの通訳を聞いたイオンはやはりと暗い面持ちになるが、ルークがハッとした表情になる。
「なぁ、だったらアリエッタにこの事を伝えられねーかな?あいつにこの事を伝えりゃどうにかしようとはするだろ?」
「それは、確かにそろそろ彼女とは接触する機会はありますが・・・少し難しくはありませんか?あの混乱の中この事をキチンと説明するには彼女を見つけねばなりませんが、あの状況で確実に接触出来るとは言えません・・・かと言ってもフーブラス川で話すには時間が経っているので、少々エンゲーブの方々やクイーン達の両方にとって危険ですし・・・」
「う~ん、いい案だと思ったんだけどやっぱりダメか・・・」
ルークの案はアリエッタにこの事を話す事。その案に反対こそしないものの状況がそれを許さないのではとイオンは難しい顔で呟き、ルークもダメかと頭をかく。
「そう諦める物ではないよ、二人とも」
「「ウッドロウ(さん)・・・」」
そんな二人にウッドロウは柔らかな笑みで声をかけ、二人はウッドロウへと振り返る。
「アリエッタを見つけられないかもと言うのなら、我々で手分けをしてタルタロスの防衛に当たればいい・・・そうすればアリエッタを見つける可能性も高まり、タルタロスを神託の盾から多少は守る手段ともなる。そして彼女を見つけたのなら誰かがその事を伝えればいい・・・忘れたのかい?私達は仲間ではないか」
「それは・・・そうしていただけるというなら、ありがたいですが・・・二人もそれでいいのですか?」
「私も別にいいわよ」
「俺もだ」
「皆・・・」
そんなウッドロウはタルタロスで分散してアリエッタを見つけたならこの事を伝えればいいと言い、イオンは他に反対の意見はと二人を見渡すが反対する者など誰一人いない。その事にルークは感激して身震いする。
「向こうでジェイド達を止めてくれているだろう二人には事後承諾の形になるが、決まりだな」
『ではクイーンにアリエッタの事を話してしばらくはこの森にいるようお願いいただこう・・・誰かミュウに通訳してもらってくれ』
「わかったよ・・・じゃあミュウ、今から俺が言うことを伝えてくれ」
「はいですの」
話がまとまりウッドロウとイクティノスが場を締めた所でその意向を伝えようとルークはミュウに通訳を頼む。








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