必然は偶然、偶然は必然 第二十話
「それでは私が考えた案件についてですが、まずやるべき事を言うならとりあえずの暫定と言う形でですが、殿下と私の婚約を解消した上でその地位を降格させるべきと思っています」
「なっ！？」
「っ・・・それは、どうしてだ？」
それでルークがまずは単刀直入にと結論から言い、ナタリアが驚きに声を上げる中でその声に驚きつつもインゴベルトが気を取り直しながらその訳を問う。
「今の殿下に罰を与えるのに対外的に示しをつけるのが難しいのは、先程の話から皆様も承知のはず。とは言えどう処置を下したとて、余程の案でなければ反感が来るのは避けられない・・・ですから今私が言った処置を取って後の殿下の行動で決めるんです。殿下が再び殿下に相応しいか否かを」
「！・・・つまりそなたは、ナタリア自身の行動でナタリアの命運を決めるべきと言うのか・・・？」
「そう言うことです・・・殿下の二度の城の脱走の件までこれが普通の貴族でしたならよくてその地位の剥奪、最悪は処刑も辞さない程の罪です・・・ですがそれらの理由を用いても今の殿下に同情が集まるのはまず間違いないでしょう。そうなれば殿下をどのようにするかとの議論ばかりが長引くばかりで、結論は容易には出ない・・・だからこそ殿下に委ねるべきであると考えたのです。あえて厳しい立場の中に身を置いてもらい、どのような行動をするのか。そしてその結果如何では暫定と言った処置から再び王女の立場に戻れるのか否か、それを決める形で」
「・・・ふむ・・・あらかじめ民や貴族にその旨を伝えた上でナタリアの行動を見てもらったなら、結果がどのような物であれナタリア自身の責任になると言うわけか・・・確かにそれなら大きな問題にならずにすむだろうな。我らだけが一方的に決めた物ではなく、人々に分かりやすい示しをナタリア自身でつけるのだから」
「ご理解いただけて何よりです」
・・・ルークの秘策、それは良くも悪くもナタリアの全責任をナタリア自身に背負わせると言うもの。
詳しい概要を聞かされインゴベルトも悪くないと言った様子で頷きルークは軽く頭を下げた後、青い顔のナタリアに視線を向ける。
「とは言え私の案を受け入れていただくには陛下達だけでなく、当人である殿下自身の意志が何より必要になります・・・いかがしますか、殿下？」
「っ・・・それはどうしても、選ばねばならないことなのですか・・・？」
そのままにルークは真剣な表情を見せ選択を迫るが、ナタリアは不安げにそうする意味はあるのかを聞くだけにとどまる。
「どうするか、それを選ぶのは貴女です殿下。拒否を示すにも肯定を示すにしても・・・ですがここでハッキリとした答えを出さないのであれば、貴女の立場は定まることなくフワフワとしたものになるのは想像がつきます。今のこの場では貴女の事をどうするのか、と言うのはその立場の難しさがあって皆様も悩まれていたと言うのは御存知のはず・・・それに私の案を受け入れないにしてももしここで何も決められずバチカルに帰ったとなれば、貴女の事をどうするかとの論争が起こるのは避けられません。そしてそうなれば貴女はインゴベルト陛下は勿論ですが、他の貴族達に何を言うことも出来ませんよ？・・・何故なら話題は他ならぬ貴女自身の事の上、本物ではない貴女をどうするのかなのですから、下手な発言をして心象を下げてしまえば一気に貴族達は貴女に牙を向けるでしょう。貴女を快く思わないが故、貴女を有無を言わさずに排除をすると決めた言葉の牙を」
「！！」
しかし選択権はあると言いつつも拒否をして、かつ何も決められなかった場合発言一つが命取りな状態になるとルークが言い含めると、ナタリアは最早青を通り越し白くなった表情で小刻みに震えながら愕然とした。
「もし他の案が何かあるのでしたらそれをまた吟味して決めるのもいいかもしれませんが、たた漠然と何もない状態でバチカルに帰ったなら貴女に待ち構えているのはそう言った貴女に非常に厳しい事態だと思われます。そういった事態を避けるには今ここで、貴女の決断が必要になる・・・お分かりですね？」
「・・・はい・・・」
余程ルークの言葉が効いたのだろう。丁寧に説明をするルークの声にナタリアはただ恐れを含んだ様子で力なく頷く。
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「なっ！？」
「っ・・・それは、どうしてだ？」
それでルークがまずは単刀直入にと結論から言い、ナタリアが驚きに声を上げる中でその声に驚きつつもインゴベルトが気を取り直しながらその訳を問う。
「今の殿下に罰を与えるのに対外的に示しをつけるのが難しいのは、先程の話から皆様も承知のはず。とは言えどう処置を下したとて、余程の案でなければ反感が来るのは避けられない・・・ですから今私が言った処置を取って後の殿下の行動で決めるんです。殿下が再び殿下に相応しいか否かを」
「！・・・つまりそなたは、ナタリア自身の行動でナタリアの命運を決めるべきと言うのか・・・？」
「そう言うことです・・・殿下の二度の城の脱走の件までこれが普通の貴族でしたならよくてその地位の剥奪、最悪は処刑も辞さない程の罪です・・・ですがそれらの理由を用いても今の殿下に同情が集まるのはまず間違いないでしょう。そうなれば殿下をどのようにするかとの議論ばかりが長引くばかりで、結論は容易には出ない・・・だからこそ殿下に委ねるべきであると考えたのです。あえて厳しい立場の中に身を置いてもらい、どのような行動をするのか。そしてその結果如何では暫定と言った処置から再び王女の立場に戻れるのか否か、それを決める形で」
「・・・ふむ・・・あらかじめ民や貴族にその旨を伝えた上でナタリアの行動を見てもらったなら、結果がどのような物であれナタリア自身の責任になると言うわけか・・・確かにそれなら大きな問題にならずにすむだろうな。我らだけが一方的に決めた物ではなく、人々に分かりやすい示しをナタリア自身でつけるのだから」
「ご理解いただけて何よりです」
・・・ルークの秘策、それは良くも悪くもナタリアの全責任をナタリア自身に背負わせると言うもの。
詳しい概要を聞かされインゴベルトも悪くないと言った様子で頷きルークは軽く頭を下げた後、青い顔のナタリアに視線を向ける。
「とは言え私の案を受け入れていただくには陛下達だけでなく、当人である殿下自身の意志が何より必要になります・・・いかがしますか、殿下？」
「っ・・・それはどうしても、選ばねばならないことなのですか・・・？」
そのままにルークは真剣な表情を見せ選択を迫るが、ナタリアは不安げにそうする意味はあるのかを聞くだけにとどまる。
「どうするか、それを選ぶのは貴女です殿下。拒否を示すにも肯定を示すにしても・・・ですがここでハッキリとした答えを出さないのであれば、貴女の立場は定まることなくフワフワとしたものになるのは想像がつきます。今のこの場では貴女の事をどうするのか、と言うのはその立場の難しさがあって皆様も悩まれていたと言うのは御存知のはず・・・それに私の案を受け入れないにしてももしここで何も決められずバチカルに帰ったとなれば、貴女の事をどうするかとの論争が起こるのは避けられません。そしてそうなれば貴女はインゴベルト陛下は勿論ですが、他の貴族達に何を言うことも出来ませんよ？・・・何故なら話題は他ならぬ貴女自身の事の上、本物ではない貴女をどうするのかなのですから、下手な発言をして心象を下げてしまえば一気に貴族達は貴女に牙を向けるでしょう。貴女を快く思わないが故、貴女を有無を言わさずに排除をすると決めた言葉の牙を」
「！！」
しかし選択権はあると言いつつも拒否をして、かつ何も決められなかった場合発言一つが命取りな状態になるとルークが言い含めると、ナタリアは最早青を通り越し白くなった表情で小刻みに震えながら愕然とした。
「もし他の案が何かあるのでしたらそれをまた吟味して決めるのもいいかもしれませんが、たた漠然と何もない状態でバチカルに帰ったなら貴女に待ち構えているのはそう言った貴女に非常に厳しい事態だと思われます。そういった事態を避けるには今ここで、貴女の決断が必要になる・・・お分かりですね？」
「・・・はい・・・」
余程ルークの言葉が効いたのだろう。丁寧に説明をするルークの声にナタリアはただ恐れを含んだ様子で力なく頷く。
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