必然は偶然、偶然は必然 第二十話

「これは私の私見による物ですが、周りからそれを決めさせられた・・・となった場合に問題が発生するのでしょう。それで発案なのですが、この問題に関しての責任者を私に一任してはいただけないでしょうか?」
「そなたに一任?」
「はい。元々を辿るなら殿下の状態が微妙な物となっているのは城から抜け出した事に加え、それを私がたしなめたことに由来する物です。そこでお聞きしますが、バチカル内でその私の判断について反論のようなものはありましたか?」
「いや、それはなかったな。ルークの判断は妥当な物と皆が見ていたが・・・っ・・・もしやそなた、ナタリアをたしなめた本人なら波風が立ちにくいと思ってそう言っておるのか?」
「自らを誉めるつもりではありませんが、それが狙いです」
それでルークが自分をナタリアの件の責任者にするようにしてほしいと丁寧に申し出れば、インゴベルトは話を聞きその狙いにハッとしたように思い至り正解とルークは微笑を浮かばせる。
「私はその時にナタリア殿下の事実を知っていた訳ではなく、ただその行動の是非を説いただけです。それで事実が元大詠師によって露見された事もつい先日、導師によって初めて知らされたのです・・・そう考えれば預言に私情を挟まないと言う点で見れば、私はナタリア殿下の事をどうするか決めるには一番適した役かと思われます。それに導師にピオニー陛下よりはキムラスカの人間である私が言ったと言う方が体面的にもいいかと」
「・・・むぅ・・・確かにそなたの言うことは頷けるな。少なくともナタリアの事を決めるにはキムラスカの者がいいのは紛れもない事実だ・・・とは言えそなたはナタリアをどうするのかと言うのを決めれるのか?」
「ルーク・・・」
いかに自分にその資格に加え都合がいいか。ルークの話にインゴベルトも唸りながら納得するが、心配するような視線と共にやれるかと聞くとナタリアもすがるような視線と声を向けてくる。
「心配はいりません。私の考えた案を採用していただけたならそう言った心配もなく、殿下がどうなるかと言うのも殿下自身に委ねる事が出来るかと思われます」
「何・・・?」
「えっ・・・?」
だがそこでルークは突き放すような物ではなく、意味深に希望を持たせるような事を言う。インゴベルトを始めに何をと首を傾げる中、ナタリアはキョトンとした様子になる。
(俺はお前を追い落としはしねぇが、かといって助け出しもしねぇ・・・精々勝手に王女の椅子から転がり堕ちろ、お前自身の行動でな)
・・・そんな自身に助けだけを求めるナタリアの姿を見て、ルークは心中で吐き捨てる。勝手に王女じゃなくなれと。
「ですがこれを聞き陛下達がどう思われるか、それはまだ分かりません・・・ですから今から私が話す話を聞き、どのように思われたかお聞かせ願えませんでしょうか?」
「・・・うむ、いいだろう」
「ありがとうございます、ではお話しします」
しかし全く心中を悟らせる事なく真摯に聞いてほしいと願い出るルークに、インゴベルトは重く頷いてそれを受け話すと言う・・・ナタリアが自然と王女の座から転がり落ち、かつそうなった時の反感も抑えられる妙案を。








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