「・・・ちなみにインゴベルト陛下。陛下はナタリア殿下をどのようにしようとお思いですか？」
「っ・・・どのように、だと？」
「はい。先程港で今日どのようにするかを決めるとお聞きしましたが、その決定権をお持ちなのは間違いなく陛下以外にはおられません。それで陛下の考えをお聞きしたいのです・・・その決定次第で殿下の事をどのように発表するかにも繋がりますので」
「・・・う・・・うぅむ・・・」
「っ・・・！」
そんな中でイオンは静かにどうするかと投げ掛けた上で決断を迫り、インゴベルトは圧されたように口ごもりナタリアは更に怯えだし身を震わせる。
「・・・それは、わしからはなんとも言えん・・・正直な所で言うが、今のナタリアは非常に微妙な立場にいる。導師にルークなら知っているだろうが、ナタリアはアクゼリュスに付いていくと城を強行して二度も抜け出た件で著しく評価を落としておる・・・もし今の状況で何のおとがめもなしにナタリアを王女としていさせたなら、様々な人々から反発は避けられないであろうからな・・・」
「・・・成程。どんな結末になるにせよ分かりやすい罰が必要、それで陛下はどのような状況になるかでその罰の軽重を決めたい。そう思っているという事ですか」
「・・・そう言うことになる」
少しの間を空け苦い顔ながらインゴベルトは意を決したようキムラスカにおけるナタリアの内情も含め口にし、こちらにそれらを決めてほしいと暗に求めてるという解釈をイオンは汲み取り述べる。
「しかしそう言われると困りますね・・・我々としても是非この問題をつつがなく解決したいとは思っていますが、下手に手緩い処置を下す訳にもいかないですがかといって峻烈な処置を下してしまっても人々の反感を大いに買いかねません。それにそもそもを言えば我々はダアトであったりマルクトの者であって、キムラスカの者ではありませんからね・・・この辺りも問題としてはデリケートな部分になりますし・・・」
「・・・確かにな」
だがとイオンはそうすることの不利を真剣にどんどんと上げていき、話を聞いていたピオニーも一言で同意する。



・・・ナタリアの立ち位置に状態はインゴベルトやイオンが言ったよう、極めて微妙と言えた。何故かと言えばナタリアに救いを出せる状態でもあり見捨てる理由もある。どっちも可能でどっちを取っても少なからずしこりが残るのが予想出来る状態であるからだ。

もしナタリアを王女として残るように救い出せば、体面を気にする貴族に失態の件で快く思っていないだろう者達からの反感を買うだろう。もしナタリアを見捨てると言うならその構図が丸っきりとは言わずとも逆になり、反感を持つ者の代表として上げられるのは今も無条件でナタリアを弱者の味方と信じる人々や貴族や行動の責任にと言った物を全く理解しようとしない者達だ。

そんな余程うまい策でなければどちらかを対立の道に引き込みかねない判断。それをいかに導師に陛下とは言え他国の者であるダアトにマルクトの者がその判断を左右しかねない事を決めたとなれば、今うまくまとまりかけているこの会談すらその者達の不満で不穏な事になりかねない・・・そう考えれば二の足を踏む気持ちになるのは当然だろう。

・・・だがそんな状態を打破出来る手段、それを確かにイオンは達は持っていた。それもナタリアだけ、最悪になる形で。



「・・・恐れながら、よろしいでしょうか？皆様方？」
「ルーク・・・？」
「っ・・・！」
自然と場が重くなる中、恐る恐るといった様子で声を上げたのは・・・ルーク。その姿にインゴベルトが何をと首を傾げるが、ナタリアの顔が一気に喜色に満ちた物へと変わりルークを救世主を見るような目で見る・・・それがぬか喜びになるとも知らず。









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