必然は偶然、偶然は必然 第二十話

・・・そこからイオンの説明はインゴベルト達に最初こそは戸惑いがあったが、最終的に受け入れられはした。外殻大地降下という事だけを聞けば不安はあったようだが、その後の障気の押し込みの技術があってそれが実現可能であると聞いた事でようやく安心したようだ。






「・・・と言うわけです。この外殻大地降下に必要な手順はこちらでやれますが、いきなりこの大地が空に浮いていてそれを下に下がるなどとなれば人々の混乱は否応なしに避けられません。更に言うならもし1つの国だけ大地を降下させたとしたなら、その光景に残された人々の不安はより増すでしょう・・・そうしないようにするには国と国が協力をした上で足並みを揃える必要があります、全世界が協力すると示して事にあたることで不利な事態にしないために」
「・・・成程・・・後の混乱を出来る限り避けるには、皆が協力した方がいいということか。そうすれば人々の不安も多少は和らぐと・・・」
「えぇ、そうです。そしてそうするからにはこの会談の後、すぐに各国に達しをした上で準備に取り掛かるべきです。現在のアクゼリュスは以前に比べても格段に障気が濃くなり、パッセージリングの限界もそろそろと言ったレベルにまで来ていると思われます。パッセージリングの危機・・・それを踏まえれば一刻も早く障気をどうにかした上で外殻大地の降下、これがこの星を存続させる唯一の手段です・・・だからこそ協力が必要なんです、貴殿方キムラスカの協力が」
「・・・ふむ・・・」
・・・外殻大地降下に障気の件について説明が終わった後に協力することの是非を説き、最後のイオンの真摯な声にインゴベルト達は考え込むように俯く。
「・・・わかった。そう言うことなら協力せんわけにはいかんだろう」
「陛下、それでは・・・」
「あぁ・・・我々キムラスカはそなたらに協力する。構わんな、クリムゾンよ?」
「えぇ、私も同じ意見です」
「市長・・・貴方はどうされますか?」
「・・・私も、賛成です。まだ戸惑ってはいますが、ヴァン達がやって来たことを思えばここで預言の意味を考え直す時が来たのでしょう・・・ですから私も何か出来る事があれば、協力します」
「そうですか・・・ありがとうございます」
そしてインゴベルトの決断を皮切りに三者共に思い悩むような声を上げながらも、協力をするとの声を上げた。その返答に頭を下げたイオンは顔を上げた後、ふとハッとしたようにインゴベルトとピオニーを交互に見返す。
「・・・すみません、両陛下。こうして両陛下が揃われている事ですから、協力の意味も含め和平を改めて結びませんか?元々はアクゼリュスの件でマルクトから持ち掛けられた和平ですから、条件を達成した今和平を結ぶことに不思議はないはずです。それに外殻大地の件を併せれば、協力の為に和平を結ぶのは自然の流れかと」
「あぁ、そうだな・・・こちらに異論はないし、大義名分も十分に成り立つな。キムラスカとマルクトが協力するとなったきっかけとしてもな」
「うむ、わしもそう言うことなら異論はない」
「ではすぐに紙とペンを用意させます・・・トリトハイム、お願いします」
「はっ、すぐに」
そんなイオンが提案したのはどこかに宙ぶらりんになってた和平を結ぶ件。改めて口にされたそれにピオニーが納得してインゴベルトも同意したことに、イオンの指示を受けトリトハイムが動き出す・・・









・・・そして数分後、用意された紙とペンにて両陛下はルーク達の前で誓約を交わした。キムラスカとマルクト、二国は戦争をしないという誓約を・・・









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