必然は偶然、偶然は必然 第二十話

「現状でそう言った事態を解決する手段・・・それを我々は持ち合わせています」
「なにっ!?それは真か、導師!?」
「本当です・・・ですがそうした場合に求められる物としては世界全体にそうすると達しをした上で、我々が協力をしなければ到底出来ないものです。そしてそうすると言うなら貴殿方にはアクゼリュスの崩落及び、戦争を諦めていただく事になります」
「っ!ど、導師・・・それは・・・」
「それはやめてほしい、などという意見は却下です市長。戦争などという事態は本来避けるべき物ですが、それ以上に言えることとしてはアクゼリュスが崩落したならさっき言ったパッセージリングの問題もあって他の土地の崩落がいつ起きるかわからないという問題があります。もし戦争をするとなった場合、土地が崩落して魔界に落ちてしまえば否応なしに戦争は止まらざるを得なくなります・・・よしんば急いで勝負を決したとて、残るはいよいよもっての本格的な外殻大地の崩壊です。そうなれば預言による発展など到底望めるはずもありません」
「・・・っ!」
「・・・市長、歴代のユリアシティの住民も含めて貴方が預言の達成を至上の物としてきた事はよく知っているつもりです。ですがそもそもの事を考えた事はありませんか?何故ユリアの残した譜石が第七までしかないのか、ということを・・・」
「・・・第七譜石までしかない、理由・・・?」
それで事態をどうにかする手段を持っているとイオンが言う中で市長が焦りに口を挟むが、現実的な視線に加え第七譜石の事を切り出され市長は不安な様子で疑問符をつけ呟く。その様子を見てイオンは手で顔を覆う・・・その下にある口元は笑みにより上がっていた。
「・・・とは言え我々もリグレットからこの事を聞くまで、その疑問を持つことはありませんでした。何せ」



「ホドにあったという第七譜石をヴァンは詠み、その中身が最終的に滅びを詠まれた物だと言うのですから」



「「「「っ!?」」」」
・・・イオンから放たれたまさかの言葉は、市長達に衝撃をもたらした。ホドに第七譜石があって、ヴァンがそれを詠みその中身が滅びが詠まれたと言うのだから。
「・・・導、師・・・それは、本当なの、ですか・・・?」
「リグレットから聞いた話ですが、ヴァンはその譜石を詠み絶望したからこそ動いたとのことです。勿論私達も最初は信じがたかったのですが、パッセージリングの性質に加え障気の存在が否定できない事実と言うものを突き付けてきました・・・そのまま何も対策を取らずに預言通りの展開になれば、それこそ滅びの可能性が高いという事を」
「待て、導師・・・と言うことは戦争でキムラスカで勝っても、繁栄は訪れんというのか・・・?」
「正確には少しの間の繁栄と思われます。預言によればマルクトに勝った後十数年は繁栄するとあったらしいですが、後にキムラスカにも災厄が降りかかりそこから障気によりオールドラントの最後が訪れる・・・と、あったとのことです。つまり戦争をして得られるのは限られた仮初め程度の繁栄、となります。更に言うなら我々の知る外殻大地の崩壊を防ぐ方法はあくまで崩壊を防ぐ為の手段に過ぎず、障気をどうにかするものではありません。もしその手段を用いて崩落の可能性が無くなったとしてキムラスカが戦争に踏み切ろう物ならその後、障気により本当にオールドラントごと滅びる可能性は非常に高いと私は見ています」
「「・・・っ!」」
市長がなんとか息も絶え絶えと言った様子で真意を問えば、イオンは手をどけ真剣に淡々と可能性が高いと言い切る。そこにインゴベルトがたまらず不安げに預言の事を聞いてくるが、さりげに外殻大地降下では障気中和まではしないと入れ込みつつ預言通り滅ぶだろうとイオンは言い切り公爵も共に戦慄に震えて表情を青ざめさせた。







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