必然は偶然、偶然は必然 第二十話

「・・・お待ちしていました」
「あぁ・・・導師自ら出迎えか?」
「えぇ、キムラスカにマルクトの陛下が来られるのですから私自らが出迎えるべきかと思いましたので」
・・・港に船をつけ、上陸したピオニー達。そこで笑顔で出迎えてくれたイオン達の姿にピオニーが首を傾げれば、礼儀だとイオンは返す。
「とりあえずピオニー陛下は案内の兵と共に先に大聖堂の方へ向かわれてください。まだインゴベルト陛下率いるキムラスカの方々はこちらに到着していませんので、私はまだこちらで待ちます」
「わかった・・・ルーク殿はどうする?貴殿はインゴベルト陛下とファブレ公爵にはしばらく会っていないだろう」
「・・・ここで待ちたいと思います」
続けて先に行くようにと勧めるイオンにピオニーは頷きつつルークにどうするかを問えば、待つと頷く。
「色々ありましたが、私もそろそろキムラスカに戻る事になると思います・・・大聖堂で会ってもいいとは思いますけど、こう言ったことは早い方がいいと思いますから」
「そうか・・・なら俺達は先に行く、大聖堂で待っているぞ」
それで早い方がいいと晴れやかな笑みを浮かべるルークに頷き、ピオニーはフリングス達と共に案内の兵を前にし大聖堂の方へと向かう。
「いいんですか、ルーク?」
「ま、ピオニー陛下にも言ったけど遅かれ早かれ会わなきゃなんないんだ。それに俺を見つけたからって無理矢理アクゼリュスを崩落させるなんて今の時点じゃ微妙だって事くらい向こうもわかってるはずだし、まぁ大丈夫だろ」
「そう言うことですか・・・」
ピオニー達を見届けた後再度確認を取るイオンにルークから現実的な視点も併せた上で大丈夫と言われ、納得する。ただ決着をつけたいという気持ちだけで考えていた訳ではないと言うことに。
「とりあえず待とうぜ、そう遠くない内にキムラスカの船も来るだろ」
「そうですね、待ちましょうか」
そう聞いたからこそイオンはルークの言葉に従い、共に待つことにする。キムラスカの船が来るのを・・・















・・・そのままルーク達は適当に会話をしながらキムラスカの船を待ち、数十分を過ごした。



「・・・お、来たな」
・・・と、水平線の彼方からキムラスカの物とおぼしき立派な船が来たことでルークが目を細める。



・・・そんな船体が近付いてくることにルークはどこか気楽な気持ちを抱いていた。









・・・だがその気持ちは船が港に着き、船から降りてきた人を見て消えてしまった。



「・・・えっ?」
「ルーク・・・っ!」
・・・船から駆け降りてきたのは来るはずがないと、来る可能性など微塵も考えていなかった・・・ナタリアであった。



ルークを始めとして周りが有り得ないその姿に唖然としていたが、対するナタリアは喜色満面に涙まで浮かべながらルークに駆け寄って来た。
「・・・待て、ナタリア!・・・どうしてお前がここに?」
「・・・それは、その・・・」
そのまま自身に抱き付かんばかりの勢いに気を取り直し、手を前に出し声をかけて制止をするルーク。そしてここにいる訳を静かに力を込めて問えば、ナタリアはルークから視線を反らしさ迷わせながら言い訳をしようとする。
「・・・それはこのダアトでの会談で様々な事を確認し、どうするかを決める為にナタリアを連れてきたのだ・・・久しぶりだな、ルーク」
「陛下・・・それに父上・・・」
ルークの問い掛けに答えたのはナタリアではなく、船から遅れて降りてきたインゴベルト。そしてその後ろにはファブレ公爵の姿。ルークは久しぶりに見る両者の姿にただ確認するように声を漏らす。









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