必然は偶然、偶然は必然 第二十話

「・・・率直に申し上げるならジェイドの態度は私やキムラスカに対しというより、全ての者に対して無礼を働く事を全くいとわない傲岸さがある・・・そう私は感じました」
「・・・そこまでか・・・」
「はい、事実そこまでの物を私は感じました・・・こう言っても今さらと思われ無礼と思われるかもしれませんが、陛下がそういった傲岸さを助長させた原因と私は思っています」
「・・・そうだな」
それで自身の思ったことを言葉は丁寧ながらもルークは正直に口にし、ピオニーは反論せずに重くうなだれる。
「確かに俺はあいつが無礼であることを知りつつ、それが昔のままの関係として心地がよくて放置していた・・・だがそれも貴殿らからの報告が来て、重臣らがその報告で一斉にジェイドを排するべきだと進言して来た時俺は理解せざるを得なかった。周りはジェイドの態度を快く思っていなかったのだとな」
「・・・恐らく重臣の方々は陛下が気に入られてる事や、その能力の高さからジェイドを排するよう働きかけることを避けたのでしょう。ですがそれが尚のことジェイドの態度を助長した。不遜な態度を取っても罰せられない事が・・・ですがそれはキムラスカとダアトという外の立場にいる私達からしてみれば、傲慢にしか見えませんでした。恐らく私達が何も言わなかったとしても、いずれジェイドはその行動から誰かに指摘を受ける時は来ていたと思います」
「・・・それほどのものだった、ということか。ジェイドの態度は・・・」
頭を下げたまま独白していくピオニーにルークは重臣の不満と共にかつての未来においての失態から排除を求められていた経験談をあたかも可能性の高い未来のように話し、その言葉に更にピオニーの声に影が落ちる。
「気にする必要はない、などとは言えません。事実ジェイドの行動は陛下が一因であったことに変わりはない・・・ですから陛下はジェイドの二の轍を踏まないように公人としてこれから動くべき、私はそう思います」
「あぁ、わかってる・・・じゃあな、すまなかった邪魔をして」
ルークはその姿にあえて厳しく公人として動くことを望むと言えば、顔を上げて微妙な顔の状態でピオニーは頷き謝ってから部屋を出ていく・・・
「・・・なんだったんだ、あの人・・・」
「多分ジェイドがいなくなることを自分の中で折り合いをつかせたかったんだろ。あの人あれでいて人との縁を切るとかそう言った事が苦手だしな。状況が許さなかったのもあるだろうけどジェイドとガイの事を突き放せなかったし。それで当事者だった俺から諦めのつくような言葉が欲しかったんだろ。ジェイドを諦められるよう理屈と感情で納得したくてな」
「・・・だからルークはあれだけ厳しい事を言ったんだな・・・」
「まぁジェイドだけが悪い訳じゃないってのも事実だったし、そう言った方が吹っ切れるだろうと思ったんだけど・・・出来る限り早く吹っ切って欲しいな」
聞きたいことを聞いて去ったその後にセネルが呆然とした声を上げ、ルークはその内心を推察した上で色々言ったのだと苦笑気味に言い最後は願望を込め遠い目をピオニーが出た扉に向けた。









・・・そんな一幕が船の中であったルーク達だが、以降は特に何か起きることもなく過ごしていた。



そして数日後、グランコクマから出港した船はダアトの港へと辿り着いた。










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