「・・・話は変わるが、ピオニー陛下の様子からおそらくキムラスカとの会合は近い内に成立すると私は考えている。だが私は今ユリアシティの住民が何かしないか、というのを少し懸念している」
「それはいい加減預言通りになる為のアクションが起きていない事に対してですか？」
「あぁ」
そこにクラトスが話題の転換とユリアシティの事を上げ、イオンもその言わんとしていることに気付く。
「・・・その事については僕も少し考えていました。そろそろユリアシティの人にも現実を知っていただく時が来るだろうと。ただ本来でしたら外殻大地の降下が済んでからと思っていたのですが・・・不安要素は排除するに越したことはありませんね」
「ならどうする？」
「・・・数日は僕達はグランコクマにいないといけません。キムラスカがどういう返事を出してくるかと言うのをピオニー陛下達と共に知らねばいけませんからね。ですからその間に僕の方からトリトハイムに手紙を出したいと思います、ユリアシティの市長を両者が相対する場に呼び出すために」
「成程、そこで事情の説明をしようということか」
「そういうことです」
少し考え込みイオンが提言したのは、今後の為にも市長もその場に相席させるというもの。その答えにクラトスも納得した様子を見せる。
「ただ市長の事です。れっきとした証言者に証拠がなければまともに僕達の言葉を受け止めるとは思いません。ですからリグレット、貴女にその証言者としての役割をお願いします。市長も度々ユリアシティに来ていたヴァンの腹心と言った存在だった貴女の発言でしたら、ちゃんと聞いてくれるでしょう」
「はっ、わかりました」
ただ証拠が必要とイオンはリグレットに向き、ヴァンのやって来たことの証言者となることを頼む。その頼みにリグレットも淀みなく頭を下げる。
「本来でしたらヴァン自身の口からそれらを明かした方が効果はあると思うのですが、話を聞くとルークにやられた時の様子から素直にこちらの言うことを聞いてくれるとは限りませんからね」
「あぁ、確かにな。そう考えっと下手にその場に謡将を連れていく訳にもいかないんだよな。もしかすると市長に叔父上達がどうにかその身柄を奪うか逃がすかしかねないしな。可能性としちゃ低いだろうけど、未だ預言通りにいかせるためには謡将が必要って思われちゃ面倒だし」
「そうだね。でもそうなるとケセドニアは会合をする場所としては選ばない方がいいかな。謡将達が今捕らわれているのはケセドニアだからね」
「・・・だな」
それでヴァンの協力があればより確実と言いつつもそれは出来ないだろうとイオンは見切りをつけ、ルークもそうすることの危険性を付け加えるように述べウッドロウもケセドニアでやるべきではないと言う。
「ま・・・それもこれも明日になってからだ。今日はもう休もうぜ」
「そうですね、そうしましょう」
ルークはそんな流れを断つように休むことを提案すれば、イオンも同意して頷く。



・・・これまでがうまくいってるので勘違いしがちになるが、これでもルーク達は慎重に慎重を重ねた上で動いている。時には大胆に動き、時には辛抱をする形で。そしてそれでも分からないことや苦心することは多々ある、ルーク達はかつて以上の未来を作るためにかつてと違うように事を進めるために。そんなルーク達だからこそピオニーやインゴベルト達に対して細心の注意を払い、様々に考えているのだ。









・・・やれることに考えるべき事は考えた、後はどう動くか。それを待つ為にルーク達はグランコクマの宮殿で一夜を過ごした。そしてルーク達は再び謁見の間に呼ばれた、マルクトの決定を知らされる為に・・・








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