必然は偶然、偶然は必然 第二十話

(これなら慎重に行けば大丈夫、か?ピオニー陛下、普段のようだったら読みにくいけどこの顔の時ってふざける気がないって確定してる顔だし)
その顔を見てそっとこちらならやりやすいとルークは考える。
「・・・さて、まずは礼を言わせてもらおう。貴殿らの情報のおかげでアクゼリュスの民達の命は無事に救われた。感謝する」
「いえ、気になさらないでください。こちらも思いがけず預言の中身を知ってそれがアクゼリュスの件に繋がり、更には戦争という中身だったのですから・・・是非これは止めねばならぬ預言と思い、私はお伝えしただけです」
「そうか・・・」
そんなルークの内心を知らずまずは礼をと頭を固く下げるピオニーにイオンが首を横に振って答えれば、ピオニーは頭を上げる。
「それで・・・このグランコクマに来た理由はなんだ?」
「はい、それはこれからの事を今までの報告も兼ねて少しお話をしたいと思ったからです。そしてその上で吟味をお願いします、これよりマルクトがどうするのかという協議を・・・」
「あぁ、わかった」
挨拶もそこそこにさっと本題に入るようにと言うピオニーにイオンはどういった話をするかと言う前置きをした上で話を切り出す、この世界の危機について・・・















・・・それからはイオン達の弁論はマルクト側からのいくつかの指摘を挟まれたものの、とどまる事はなかった。外殻大地の危険性、ヴァンが預言達成を目論むモースに隠れてやっていたことに何のためにそれをやっていたのか、そして預言通りになればどうなるのかというもの・・・






「・・・という訳です。この世界を滅ぼさないようにするにはまず外殻大地の降下と戦争を起こさないこと、それは是が非でも必要な事になります」
「「「「・・・」」」」
・・・一通り話をしたイオンの出す目標設定に、マルクト側の反応はどこか愕然としていて停止に近い状態になっていた。まぁそれもそうだろう、一度に聞くにはあまりにも壮大な話であり現実とすぐに受け入れるには厳しいと言える物がある。
しかし一概にそれを否定できないのはリグレット達という証言役がいるからである。流石に実行者がいては頭ごなしに否定は出来るはずもない。
「ですがそうするからにはマルクトにダアトだけの二つの間だけ協力すればそれでいい、という訳には行きません。やはりそうするとなればどうしても必要になるのはキムラスカとの協力です」
「・・・確かにな。特に戦争に関してはこちらも是非とも避けたい。預言に詠まれた戦争とは言えこちらも負ける気はないが、それは向こうも承知の上の事だ。そうなってしまえばこちらから停戦を持ちかけた所で余程の事でも起きん限りは向こうは引くに引けん状態になる。おそらく勝つか負けるか、それも有無を言う気力もないほどに分かりやすい勝敗がつかなければ・・・延々と戦争は続くだろうな」
「「「「・・・っ!」」」」
それを見越した上でキムラスカの協力も必要と言うイオンにピオニーもそうしなければと、戦争が起きた場合の仮定を口にして周りは一斉に騒然とする・・・戦争が預言に詠まれていてキムラスカが勝者と詠まれていたなら、キムラスカは勝つまで戦争を止めようとはしないだろう。そしてマルクトからはそれを止める手立てはまずないが、唯一止められるとしたらそれこそマルクトが勝者になるしかなくなるだろう・・・だがそうなってしまえばもう手遅れなのだ。









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