必然は偶然、偶然は必然 第二十話

「・・・では皆様はしばらくここでお待ちください。すぐにピオニー陛下に話をしてまいります」
「はい」
・・・グランコクマの街中を通って宮殿の前に来たルーク達。そこでフリングスが丁寧に話をしに行くと言ってイオンが頷いたことで、フリングスは宮殿へと一人向かう。
「・・・さて、ピオニー陛下はどう動くと思う?」
「協力は快くしてくれると思う。けどディストを前にしてどうするか、なんだよな・・・」
「私、ですか?」
待つ時間となったことでクラトスが話題をルークに振ると、協力はともかくディストにどうするかと言ったことでキョトンと当の本人は目を丸くする。
「とりあえずは僕の口から貴方の身柄をしばらく引き受けてもらうだけということにしますが、貴方の事をピオニー陛下が引き取りたいと言う可能性があります。と言ってもその中身としては貴方を旧友として受け入れるためか、ディストとして厳かに裁くためか・・・可能性としては半々と言えます」
「そっ、そんなっ!?ピオニーがそんなことを私にするなんて・・・!」
「可能性として考えられる・・・そう思ってほしいと言ってるんですよ」
その態度にイオンがルークの後を引き継ぎディストの行く末の可能性を告げれば信じられないと言った様子に染まるが、切実な思いがこもった声で有り得ることと静かに強く言う。



・・・現にかつての未来においてディストをマルクトの重臣が処分せんとする動きは無いわけではなかったのだ。神託の盾の六神将であった身の上を考え。しかしそれはピオニーの声で止められた上に尚且つピオニーのケアを後々甲斐甲斐しく行うようになっていったことから立ち消えになったのだが、それも失態でジェイドが失脚している今のピオニーの心次第では有り得ない話ではないのだ。



「・・・とりあえずは僕も貴方の身の安全は保証はしてもらうように動きます。ですが貴方の立場は非常に微妙な物です。ヴァンの配下でありモースとも繋がりがある、それで僕達が貴殿方を犯罪者という扱いで捕まえた。その中で貴方はタルタロスの襲撃に関わったという前科があります・・・そこを突かれたら陛下は百歩譲って貴方を許しても、臣下の方々は貴方を許さない可能性が出ます」
「・・・っ!」
・・・今後の為にディストは生かしておきたい。
そう考えるイオンは考えられる最悪の可能性を現実的に上げ、ディストは怯えに震え顔を青くする。
「ですから貴方は出来る限り心象が悪くならないように心掛けて行動してください。もし貴方がヘマをした場合、擁護することが難しくなりますからね」
「は・・・はい、わかりました・・・」
最後にだめ押しとして注意をするようイオンが促すと、ディストも危険には会いたくなかったようでビクビクしながら頷いた。






・・・話の流れからディストに注意をしたルーク達。そこから少し他愛ない話をした後、フリングスが来てピオニーが会うという事になりルーク達は謁見の間に向かった。






「・・・よく来た導師、そして初めましてだな・・・ルーク殿」
・・・そして謁見の間に入りルーク達は出会った。以前と違い固い表情で出迎えの言葉を向けるピオニーに。







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