必然は偶然、偶然は必然 第二十話

「・・・あ、そうだ。グランコクマに行くならディスト連れてかないか?」
「ディストですか?」
・・・そのように意気込むルークだったが、ふとディストの事を思い出すよう連れていこうと提案したことにイオンが首を傾げる。
「このままケセドニアに置いといてもいいかなとか思ったけど、後々考えるとグランコクマにいてもらった方がいいと思ったんだよ。ピオニー陛下にも顔合わせさせておきたいし、六神将がここにいるって知ったら何をするかわからないしな」
「あぁそういうことですか・・・確かに悪くないですね、そう考えると」
「ではフリングス少将が来たらそう言うか?」
「えぇ、僕もそうした方がいいと思います。クラトスさんもそう思ってるんじゃないですか?」
「うむ、私もそう思う」
それでルークからその意見のメリットを聞くとイオンも納得し、話に入ったクラトスも同じように頷く。









・・・その後、そうやってディストもグランコクマに連れていく事をフリングスにどうかと問うと二つ返事で了承が返ってきた。

なので兵士に引き立てられてきたディストも事情を説明された後、ルーク達と今までの研究資料と共にケセドニアを出てアルビオールでグランコクマに向かう・・・







「はぁ・・・右に左にと・・・これじゃあ落ち着いて研究も出来ませんよ・・・」
「なんですか、ディスト?」
「ヒッ!なっ、なんでもありません導師・・・!」
・・・そんなグランコクマに向かうアルビオールの中、一番後ろの窓側の座席に座りポツリと呟くディストの声に向かい側の座席に座っていたイオンが反応しやけにびくつきながらディストは首を慌てて横にブンブン振る。
「クスッ・・・そんなに怯えないでください、ディスト。とりあえず今のところ僕は何もしませんし、グランコクマに着いたらしばらく動かしませんから」
「そ、そうですか?な、ならいいんです・・・」
明らかな怯えを軽い微笑を浮かべながらとりあえずの不安要素はないと優しく告げるイオンに、ディストはあからさまにホッとした様子で胸を撫で下ろす・・・しかしここで呟きの中身を正確に聞かれて把握されていたことを気付けない辺り、相当動揺していると言える。
「まぁそのついでと言ってはなんですが、大爆発に関してはどれくらい研究は進んでいますか?」
「・・・そうですね・・・理論上ならどうすれば大爆発が起こらず、レプリカ側の体を被験者が乗っ取れないようにするか・・・はもう確立出来ました」
「本当ですか・・・?」
「えぇ、まぁ・・・ただしいくつか条件がありますけど」
「条件?」
それで会話の流れから研究の経過について話をと求めるイオンにディストは気を取り直して理論上はもうイケると言い、イオンを筆頭に皆が身を乗り出しかけるが条件付きと言われて皆そこで止まる。
「まず一つ言うなら、被験者に死を実感させるような時間を長く取らせるような事態を避けてください」
「それは・・・?」
「大爆発で被験者がレプリカを乗っ取ると思われる理由は、その被験者の肉体が正常に生命を維持する事が出来ないと判断して起こす一種の防衛本能としての行動です。つまり体に精神が自分は死ぬんじゃないかって感じ出したら、それが肉体の音素がレプリカを乗っ取る為に動こうとするんです。自分から離れた全く同じ存在がいる、ということで・・・だからもし殺すと言うならスッパリと長引かせず一思いに殺してください。そうすれば大爆発を起こしてでも助かろうとするようには音素は働かないはずです。何せ大爆発の準備を体が出来てない状態で死ぬんですからね」
「成程・・・」
そんな姿にまず一つと条件を言うディストに、一同納得する。







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