必然は偶然、偶然は必然 第三話

「分かったか?お前が俺にとってどんだけ信用ならない存在なのかを。今ならバチカルにまで一緒に行かなくていいからさっさとどっか行っていいぞ、別に俺はお前に連れていってもらわなくてもどうにかなるから。さ、どうする?」
「・・・それは・・・」
「別に今すぐ答えなくていいぞ、明日まではここにいるから一緒に行くってんなら連れてってやるよ・・・じゃあな」
うつむいたままのティアに自分の方が立ち位置が上だと格付けするかのよう、ルークは明日までに頭を下げれば連れてってやると言い残し、頭が下がったままのティアを見下し去っていく。
「・・・いいのか?あんなことを言ってしまえば、あいつは来んかもしれないぞ」
そんなルークの横に付いて歩くクラトスがティアが付いてこない可能性の事を聞く。
「心配いらねぇよ。あぁ言った風に核心突かれても、あいつは頼る奴はここにはいねぇんだ。ブツブツ言いはするだろうけど、どうせ行く場所もねぇから俺と一緒に来ることを選ぶ・・・選ばざるを得なくなる、あいつは」
「そうか」
その質問に自信ありと終わり際にニヤリと盛大に笑みを浮かべ、クラトスはそれ以上聞くこともなく納得の声を上げる。
(まぁあれならルークの言った通りになるだろう、しかし実物はまた面倒な物だな・・・)
そんなクラトスはティアの事を思い出しながら、改めて面倒な人物だと思い直す。



・・・クラトスの記憶にあるロイド達の面々を思い出すと、ティアのような面倒な性格の人間はいなかった。良くも悪くも素直な気持ちを持った面々ばかりであったが、ティアのそれは寧ろクラトスすら微妙な表情で見る五聖刃のような排他的な物があると感じていた。

・・・そうクラトスが思っている中、宿屋に戻ったルーク達。ティアを連れてこなかった訳をウッドロウ達から聞かれ、ティアとのやり取りを話して一同あぁと納得の表情を見せた。

そしてその後夜になって宿に来たティアはルーク達の人数の多さに驚きながらも、結局自身からルークに付いていくと言い出すこともなくその夜は更けていった・・・



・・・そして翌日、ルーク達は朝日がまだ昇りきっていない時間でティアを残して宿から出た。
「・・・あっ、おはようございます。そして初めまして、皆さん」
すると宿先にいたのはイオンで、ルーク達を見つけて丁寧な挨拶をしてくる。
「あぁ、おはよう・・・時間もそんなにねーし、後は色々歩きながら話そうぜ」
「そうだね、その方がいいだろう」
「ではそうしましょう、皆さんよろしくお願いします」
その挨拶に返答しつつもルークは早く出発するべきだと言い出し、ウッドロウもその声を後押ししてイオンは同意を示すと改めて頭を下げ、皆はエンゲーブを出発していく・・・









・・・チーグルの森に行くまでの間に互いの自己紹介やらしながら、ルーク達は穏やかに進んで行った。

そしてチーグルの森に着いたルーク達はハロルドが「別世界の昆虫はどんなんかしら~♪」などと鼻歌混じりで辺りを楽しそうに見渡しつつも、森の奥にあるチーグルの住み処の大樹の前へとたどり着いた。







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