必然は偶然、偶然は必然 第三話

・・・そして宿を出て二人でティアを探していると、村の一角にてその後ろ姿を発見する。
「おー、いたいた・・・よう」
「きゃっ!・・・なんなのルーク、ってあらこの人は・・・?」
その後ろ姿にさっさと済ませようとダルさを隠しもせずルークは声をかけ、ティアはびっくりして避難めいた声を上げようとするが隣のクラトスに眉を寄せる。
「ああ、さっき知り合った傭兵だ。話をしたら金は後払いでいいって言ってくれたから雇ったんだよ」
「なんですって・・・?なんでそんな勝手な事をするの・・・!?」
「「・・・」」
その様子に傭兵だと説明するが案の定余計な事だと非難するティアに、二人は頭を抱えそうになる。だが今更だとルークは経験から考え直し、仕方なしに口を開く。
「・・・戦力は多いに越したことはねーだろ。それに金は俺の方が負担するし、別にお前と二人だけで旅しなきゃなんねー理由なんてどこにもねー。つまりお前には俺が傭兵を雇っても断る理由もない、違うか?」
「そ、それは・・・」
昔なら一方的に言われれば上手く言い返せずに半ば逆ギレで終わらせていたが、今は違う。ある程度筋道を立てての発言はお手の物となり、ただ感情論で物を言うティアくらい黙らせる事は出来るようになった。そんな予想外のルークの反論に、ティアは途端に口ごもり辺りをキョロキョロし出す。
「それにお前と一緒にバチカルに帰らなきゃならない訳が俺にはない。不満なら別にお前一人で帰ってもいいんだぞ。全く俺を安心させようともせずに質問に答えない不審者より、金出しゃちゃんと身を守ってくれる傭兵を周りに置いといた方がまだマシだ」
「っ!質問に答えないって、それは貴方には関係ない事だからよ!」
そんなティアにルークは不審者と呼び、すかさず気を取り直して激昂して声を張って返す。
「関係ないなら人の目の前で人を殺してもいいのか?それでその後凶器を持った人殺し相手に私は安全な人間だから信頼しろなんて言われてアッサリ信じられるのか?・・・へぇ、初めて知ったぜ俺。人殺し相手でも自分を信じろって言われたら無条件でそいつを信じなければいけないなんて決まりがあるなんてな」
「っ!違っ・・・!」
「違わねぇよ、お前の言ってる事はそう言う事だ」
そんなティアに冷ややかな眼差しを向け、ルークはそんなことを言っていると突きつける。だがティアはまだ悪あがきをしようと声を上げようとするが、すかさずルークはその声に割り入る。
「自分に信用が置けるなんて自分が判断してなんになる?そりゃそうだろ、自分自身を信じられなきゃ何を信じられるんだ?けどそれを自分が信じられるから相手にも信じろなんて言って、誰が信じる?・・・お前の言ってる事はただの自己満足以外の何物でもねぇよ、それも自分は誰よりも信頼出来るっていう痛い勘違いの自己満足だ」
「っ・・・!」
そして痛烈極まりない言葉をルークはティアにぶつけ、ティアに下を向かせる。





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