必然は偶然、偶然は必然 第十九話

・・・ヴァンとシンクとラルゴ、この三人の中でラルゴが一番厄介と言いにくい相手と言うのはその攻撃の方法にある。

確かにラルゴの持つ大鎌はラルゴの巨体と相まってその威力は凄まじい物がある・・・しかし欠点を上げるとすればそれは、武器の特性上で大振りになるのを避けられないということである。最もそれは攻撃範囲が大きいという利点もあるのだが、そう言った利点はオーソドックスな剣を扱うヴァンや格闘スタイルのシンクに比べて素早さが劣るのも事実であった。

故に三人の中で与し易いのは実力で頭一つ抜けているヴァンを抜いたとして、手数に素早さという点も含めればシンクよりもラルゴが戦いやすい・・・そう言った結論が出たが為に、クラトス達の前衛が得意な三人がラルゴと対すると決めたのだ。一刻も早くラルゴを倒し、他の二組を援護しに回るために・・・



・・・そして残りの面子の構成はどういうものか、と言えばルークはウッドロウにリグレット、イオンはハロルドにアリエッタという組み合わせになった。これはどういった組み合わせなのか、と言えばこれはイオンのメンバーをどういった物にするかと考えた結果である。

シンクと戦うに当たり、イオンの他にアリエッタもシンクと戦いたいといった。これは被験者イオンの事にシンクがレプリカという事実を知ったからこそという背景があったからこそと皆理解し、それを了承した。それで後一人誰にするか、という時に立候補したのがハロルドである。ハロルドいわく『援護もだけどイオンは戦いに慣れてないから回復も必要っしょ♪』と明るく言ったが、これには皆も納得した。言ってみれば一番戦いの経験が少ないのはイオンで、一番三人の中で苦戦を強いられる展開になるのは想像がついたために。故にイオン達のメンバーはアリエッタとハロルドという事に決まった。

そしてルークと共に戦うメンバーとして自動的に決まったのが、ウッドロウとリグレットの二人である。とは言え全員が全員腕利きである上、ルーク自身過去にヴァンを倒してそれ以降も稽古をしていた身・・・メンバーにハズレがあるはずもなく、ルークに不満はなかった。むしろ感謝こそしたくらいだ、これだけのメンバーが自分達に協力してくれることに・・・















「エクスプロード!」
‘ドゴンッ!’
「「「「うわあぁぁぁっ!」」」」
「くっ・・・!」
「・・・どうやらもう神託の盾はいないようだな」
・・・ただ戦場にいるのはルーク達とヴァン達だけではなく、神託の盾もいる。しかし今のルーク達からすれば神託の盾の兵士が束で襲いかかってこようとも、そこまでの問題ではなかった。



戦いも始まり最初こそはヴァンにシンクにラルゴの三人を援護せんと戦いに割り込んできた・・・だがレベルの違う戦いに下っ端の神託の盾が満足に入れるわけもなく各々のグループで一蹴され、最後に残ったその一団にディムロスがエクスプロードを盛大にぶちかましたことで悲鳴と共に神託の盾は四散して倒れこんだ。その光景をラルゴはチラッと目撃して苛立たしげに声を上げ、クラトスは改めてその事実を突き付けるように呟く。
「チッ・・・なにやってるんだよ、だらしない・・・!」
‘ゴッ!’
「っ・・・貴方達を止めるためにここに僕達は来たんです、負けてなんてやれません・・・!」
‘ブオッ!’
その言葉に反応したのかシンクが苛立ちを浮かべながらイオンに蹴りを頭に向けて放つが、何とか腕で受け止め必死の様子で口を開きながらイオンはガードしてないもう片方の拳を腹に向けて放つ。だがその拳はシンクが少し後ろに跳んだ事で空を切った。
「・・・どういう事だ、ここまでなどと・・・!」
「まだ現実が見えてないんですか、センセイ?・・・ま、あんたじゃそうなるのも当然か」
「何・・・!?」
そんな中で実は三人の中で一番動揺に揺れていた戦いながらもヴァンがイオン達の様子を見ていて信じられないと声を上げるが、そんな様子にルークから鼻で笑うような舐めた口を向けられ怒りに眉間を寄せる。










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