必然は偶然、偶然は必然 第十九話

「・・・ま、それはともかくとしてだ。とっとと始めようぜ、こっちも後がつかえてんだ」
「・・・そうですね、そうしましょう」
・・・だがそんな裏事情を一々言ってやるような義理はルーク達にはない。ルークが始めようと前を見ながら切り出すと、イオンも同意して頷く。
「どうやら本気のようだな・・・どういった経緯でこのような事になったかはわからんが、こうなった以上は貴様らを倒してやろう。そしてレプリカ、貴様は半殺しにしてアクゼリュスもろとも消滅させてやる。あくまで預言通りにいっていると見せる為にな」
「ふーん、やれるならやってみろよ。あ、ちなみに言っとくけどアッシュは今グランコクマの牢の中だけど」
「何・・・っ!?」
「行くぜ皆!」
「・・・っ!」
二人の様子に大層な事を不敵な笑みを浮かべながら言いつつ、剣を抜くヴァン。だがそんな表情はアッシュの現在地をルークに何でもないように言われたことで驚きに崩れ、畳み掛けるように開始の声をルークが仲間にかけて一斉にウッドロウ達が動いたことで動揺に揺れたまま剣を構えた・・・ルークがまさか心理的な動揺を誘う手を使うとは考えてもいなかったのだろう、明らかにヴァンは一手遅れてしまっていた。
「はっ!」
‘キィンッ!’
「くっ!」
果敢に斬りかかるルークの一撃をなんとかといった様子で受けるヴァン。だが明らかにその一撃に体勢を崩され、たまらず後退してしまう。
「くっ・・・!」
「貴方の相手は僕達ですよ、シンク!」
‘ゴッ!’
「っ、重い・・・っ!」
その様子にヴァンに慌てて近寄ろうとするシンク。だが目の前に来たイオンからの鋭く重い拳をやむなく腕で受け止めた事で驚きと共に、足を止めてシンクはイオンに視線を向ける。
「シンク・・・っ!」
「お前の相手は私達だ」
「っ・・・くっ、貴様ら・・・!」
今度はそのシンクにラルゴが援護をしようとするが、すかさず視線の間に割り込んだクラトス達に苦々しげに表情を変える。
「悪いがあまり時間はかけられん・・・まずはお前から倒させてもらう!そしてそれから二人の援護をさせてもらおう!」
「くっ・・・そうは行くか!逆に返り討ちにして、俺が謡将達の援護をしてくれよう!」
更にクラトスから剣を向けられ自身を倒すと言われた事でラルゴは鎌を持ち、意気を上げて戦いに望まんと鎌を振るう・・・



・・・ルーク達はこの戦いに挑む前、どういう戦い方で戦うか。その事について話し合った。何せルーク達は9人で、ヴァン達は場にいるかもしれない雑兵を抜けば3人。そのまま戦えばいかにルーク達に実力があるとは言え、ごちゃごちゃとした乱戦になるのは避けられない。なので変に全員で一斉に戦うよりは各個撃破を狙い、一人一人を三人づつのグループに分けて分散して戦った方がいいという結論に至った。

それで各組のグループ分けだが因縁もあってヴァンをターゲットとするルークを中心に三人、シンクを相手にしたいと考えていたイオンを中心に三人、そして残ったラルゴを相手にする三人という構成になった。ただしこのグループ分けとはあくまで乱戦になることを避けるためで、もし一つのグループが誰かを倒したなら人員を分散させて残り二つのグループを手助けするという役割を各々負ってもいた。

故にラルゴと当たることになったクラトスにセネルにディムロスの三人は早く勝負を決め、ルークにイオン達の援護に向かいたいと考えていた。言い方こそ悪いが一番厄介とは思えない相手がラルゴと、そうクラトス達が感じた為に。






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